エピローグ

 写真スタジオのオーナー、青木は向かっていたパソコンから手を放しうーんと背伸びをした。


 今年の春ははじまりと同時に不思議な手紙が次々舞い込んで、毎回振り回されたなぁと青木は思った。


 スタッフの意外な趣味や家族の思いがけない生き方に世界は広いもんだと感心したり、胡散臭い手紙にうっかり財布のひもを緩めてしまったり。いやあの時は、妻を始め女性スタッフ一同からの冷たい視線はいたたまれなかった。先週は間違いの手紙が舞い込んだようだが、妻がうまく返事を書いてくれたようでひと安心だ。


 まあ、おかげでなかなか得難い体験もしたし「お宝を鑑定する番組」の観覧チケットも見事に当選した。スタッフの結束も何故か強まった気がする。


 そろそろ夏休みも始まるし、「浴衣とシャボン玉」イベントや「ひまわりと麦わら帽子」イベントに本腰を入れないと。今年も子どもたちの笑顔をたくさん撮影できるといいな。


 青木はいつも笑顔で賑やかなスタッフの顔を思い描きながら、カレンダーを眺めるのだった。







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往復書簡 小烏 つむぎ @9875hh564

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