ホ-ムズの愛人

@nekochansong03

第1話ホ-ムズの愛人


ホ-ムズの愛人


「最後の事件」(さいごのじけん、The Final Problem)以来、シャーロック・ホームズは世間から姿を消した。しかし最悪の事態と予想された、死亡説とは真逆で、強敵の暗殺者から身を隠していたので在る。有能な狙撃主モラン大佐から逃れるためである。


「ボヘミアの醜聞」、いつでも「あの女性」と呼ぶ人がいる。

懐しさから部屋を訪ねると、再会したホームズはワトスンを観察し、やや肥ったことから結婚生活が似合っているようだと評し、さらに最近ワトスンが風邪を引いたことなどを言い当てる。そして上質な紙の手紙を見せ、間もなく依頼人が来ると話す。やがて立派な馬車が乗り付け、顔に仮装用のマスクを付けた身長2mはあるであろう大男が部屋に通されてきた。


マスクの男はフォン・クラム伯爵と名乗り、ボヘミア王家の問題で代理人としてきたと言うが、ホームズは伯爵の正体がボヘミア国王その人であると見抜く。伯爵はボヘミア王であると認めてマスクを取り、依頼の内容を語り出す。


5年前、王太子であった王はアイリーン・アドラーと交際していた。アイリーンはコントラルト歌手でオペラのプリマドンナである。王は近くスカンディナヴィアの王女と結婚することが決まったのだが、そこへアイリーンが、二人で撮影した写真を王女へ送りつける、と脅迫してきたのである。写真が送られれば破談は必至であり、王は写真を取り戻すために人を雇う。しかし、家捜しや強盗をさせたにもかかわらず、写真を見つけることはできなかった。写真を送ると予告された婚約発表の日が迫り、自らホームズへ依頼に来たのであった。


写真を取り戻す依頼を引き受けたホームズは、馬丁に変装して情報を集め、ゴドフリー・ノートンという弁護士の男が毎日アイリーンを訪ねていることを知る。ホームズがアイリーンの家を見張っていると、訪ねてきたノートンとアイリーンが馬車でどこかへ出発する。ホームズが後を追うと、馬車はセント・モニカ教会に着く。教会にはアイリーン、ノートン、牧師の3人がおり、入ってきた馬丁(ホームズ)に協力を要請する。これはホームズにとっても想定外の出来事で、アイリーンとノートンが結婚する立会人をさせられてしまったのだった。 結婚した二人が新婚旅行などで出かけると取り戻すのは難しくなる。ホームズはすぐに行動を起こすことを決め、ワトスンに助力を頼む。写真が家の中にあると推理し、アイリーン自身にその場所を教えてもらおうというのである。


家へ戻ってきたアイリーンが馬車から降りようとしたとき、周囲で男たちの喧嘩が始まった。喧嘩に巻き込まれそうになったアイリーンを、聖職者に変装したホームズが守ろうとして、負傷する。顔から大量の血を流して倒れたホームズは、アイリーンの家へと運び込まれた。


一部始終を見守っていたワトスンは、ホームズの合図で発炎筒を家の中に放り込み、野次馬たちと声を合わせて火事だと叫ぶ。その声を聞き、立ちこめる煙を見たアイリーンは、とっさに最も大事なもの、写真を取り出そうとしてしまい、ホームズにその隠し場所を知られる。ホームズの負傷は家へ入りこむための芝居であり、喧嘩をはじめた男たちや野次馬は、みなホームズが手配していたのである。


隠し場所を知ったホームズは、明日ボヘミア王と一緒に家を訪ねて写真を取り戻すことにして、ワトスンと二人でベーカー街へ戻る。ホームズがドアの前で鍵を開けようとしたとき、通行人の青年から「おやすみなさい。」と声をかけられる。しかし、青年が誰なのかはホームズにも分からなかった。


翌日、ホームズとワトスンは王を伴いアイリーンの家を訪れるが、アイリーンの姿はない。残っていた使用人から、アイリーンはノートンと共に大陸へ旅立ったという伝言を聞かされる。慌てて確認した隠し場所には、手紙とアイリーン1人だけの写真が残されていた。昨日の騒動の後、負傷した聖職者がホームズだと気付いたアイリーンは、男装してベーカー街まで尾行し正体を確認すると、挨拶の声をかけて立ち去ったのであった。手紙には、夫ノートンと相談した結果、ホームズが相手では逃げるしかないと考え、姿を消すと書かれていた。王と撮った写真に関しては、結婚した身であり悪用する意図はもはやなく、お守りとして手元におきたいという。その代わりとして、アイリーン1人だけの写真を、手紙と共に残していったのだった。


アイリーンの手紙を読んだ王は、身分さえ釣り合っていたなら立派な王妃になっただろう、と嘆息する。ホームズは写真を取り戻すことができなかったと謝罪するが、王は写真は焼いたも同然で、依頼は果たされたと述べ、とりあえずの謝礼として填めていたエメラルドの指輪を渡そうとする。しかしホームズは、王の持ち物にはもっと貴重なものがあり、それが欲しいと言う。その貴重なものとは、アイリーンの写真であった。


この事件以降、ホームズが女性の知恵を馬鹿にすることはなくなった。ホームズにとって、アイリーン・アドラーはいつでも「あの女性」なのである。


アイリーン・アドラー(Irene Adler)は、アメリカ生まれのオペラ歌手で、女山師、機略縦横の女性、ただ一人名探偵を出し抜いた女性などと評される。


『ボヘミアの醜聞』で男装してベーカー街221Bを訪れるアイリーン・アドラー


アイリーンの登場する短編「ボヘミアの醜聞」の記述によれば、シャーロック・ホームズはアイリーンについて回想する際、彼女のことを常に「あの女性(ひと)」(the woman)と呼ぶ。



モンテネグロ王国チェティ-ニエ、

ホ-ムズはそこに滞在していた。


またそこでアイリ-ン·アドラ-と再会するのである。

政府の機関もある場所で都合がよかった。小さなアンティヴァリ港に行くにも、イタリアのバリ港からでるプグリア汽船の船に乗らなければならず、それもよかった。生活費を届けて貰うのに、ペオグラ-ド、ウィーンに連絡が付けるのも良かった。兄のマイクロフトに無心出来るからだ。一方、アイリ-ン·アドラ-は、野蛮なノ-トンとの偽りの結婚生活で負傷し、ほとんどの財産を取られ、少しの財産で過ごして居たが、劇場が忘れられずチエティ-ニエに滞在して居たので在る。

アイリ-ン·アドラ-は健気にもシャ-ロック·ホ-ムズに協力をして、ホ-ムズも地元の警察と連携して、強敵モラン大佐を破滅させた。この時が、アイリ-ン·アドラ-にとって全生涯で、いちばん幸福であった。

シャ-ロックホ-ムズはひと安心のところであったが、知性活動の触発で最大の好適主のモリア-ティ教授が亡くなったことで、心の空白が生まれ、精神の病になった。アイリ-ン·アドラ-も痛々しいようすで、怪我も治らず、体の病であった。アイリ-ンはホ-ムズと親しく懇談した時、「想定内よ。」と言った。「男性に腕力ではかなわないよね、」と、「一年位傷を治し休養するお金は隠し持って居たの、念の為。」「彼とは仲間というか同士、私より苦労して居て、お互い孤児だった。」「優秀な弁護士なので信頼はしていたけど、裏切られて、精神のダメージはない。男女関係でも無かった。」といった。

静養の為ホ-ムズは中心街を離れ、ちょっと田舎の養蜂家の盛んなところに家を借りた。偶然にもアイリ-ンも近所に家を借りて居た。

ふたりは自然に蜜月を過ごした。

幸いにも近所に住む老夫婦が親切で、子供が無いため、アイリ-ンを娘のように扱った。その為、幸いにもホ-ムズは唯一の悪癖からも離れ、健康であった。

イチャイチャするときはあったが基本的にお互い自立して居た。だが、アイリ-ンは妊娠したことがわかり、アイリ-ンは不幸にも堕胎した事が三度あった。それで分かったのである。アイリ-ンは依存する様になり、ホ-ムズは不審がった。

その時分シャ-ロックホ-ムズは、以前からロンドン警察だけとは連絡をとっていたので、「浅薄な奴らだ。」とワトソンらを批判し、帰省感が募って、ワトソン氏やハドソン婦人に遠からず会いに行くだろうと推察された。

それは喜ばしいことであったが、アイリ-ンは薄々感じて居たように、ホ-ムズが家庭向きの人柄でないのを確信し、妊娠して居るのを告げなかった。アイリ-ン·アドラ-は18歳のとき、オペラのプリマドンナで絶頂期で、もし結婚するならトップを狙いたいとおもい、現国王と付き合った。

彼女はどこからこのプライドがくるのか解らなかった。皇太子(現国王)は彼女に執着したが、身分的に結婚出来なかった。だが妊娠すれば可能性はあった。だが三度流産した。確証は無かったが、証拠は無かったが、皇太子の身内の彼女らに毒を盛られた気がした。だが彼女らの気持ちも分かる。

21歳の時アイリ-ンはホ-ムズの子供を妊娠し、無事に生まれたので、その感は強まった。その近所の親切な老夫婦の助けもあり、お金はアルバイトで、チエティ-ニエでコントラルト歌手をして稼ぎ、ホ-ムズとの間にもうけた男の子はすくすくと育ち、4歳になって居た。

皮肉にも、チエティ-ニエで歌手をして居たのが災いし、まだ魅力的なアイリ-ンは、ギリシャの侯爵に見初められ、プロポーズされたのである。ギリシャの軍人で著名であり、住まいに案内し、様子が分かっても心が変わらなかった。アイリ-ンはかなり悩んだが、老夫婦は「実の娘や孫とおもっている。」と言って、「もったいない。まだ若いのだから、この子の面倒は私達が見るから、結婚しなさい。」と後押しされて、迷いながら結婚に踏み切った。「何故お母さん僕を捨てたの。」ホ-ムズとの間に出来たその子は、そのおもいを抱きながら、才能はあるだろうにそれを素振りにみせず、地元の家庭的な女の子と結婚し、因縁なのか養蜂家として3人の子持ち、4人目も妊娠中で心安らかに暮らしている。

その後、アイリ-ンは節税と言って、小金を稼ぎ、モンテネグロの老夫婦に仕送りをしていた。

貴族として見識を高くしていると、ヨ-ロッパの情勢に不安を強くして、ヨ-ロッパが危ないと、

夫に了解を得て、グルジアを訪れる。そこで下級貴族ながら、心差しも高く優秀な青年に出会い、ただ悪心を抱く者達に狙われているのを確信すると、アイリ-ンはその青年の愛人となった。何故か。アイリ-ンはその青年を執着する事で、その青年を守れると思って居るからだ。愛人関係が続くと、程なくアイリ-ンは妊娠した。その子供は青年側に預け、アイリ-ンは今度はスウェーデンに向かった。

そこでも、やはり下級貴族ながら、心差しも高く優秀な青年の愛人になり、やはり子供をもうけた。アイリ-ン28歳の時であった。

イタリアの侯爵は、アイリ-ンは社交的であったので、十分に妻としての役目を果たして居たので、問われたが、アイリ-ンが実家に帰って居ると説明していた。アイリ-ンの身分はある程度の身分と誤魔化して居た為、何となく修まって居た。


後々振り返って、アイリ-ンは三度流産させられた執着があったのではないかと語った。


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