"はじめまして"

屋上のフェンスの向かい側。"僕"は一人立ち尽くしていた。

眼下に広がる景色を呆然と見つめる。

…今日は、300年に一度の流星群なのだという。

きっと多くの人々が、大切な誰かと星空を眺めてそれぞれの願いを星に託すのだろう。


(……そんな人は、僕にはもういないけれど)


視界の端に一筋の光が流れる。

昏い夜空を光で塗り替えていくように、数多の星の光が地上へ降り注ぐ。


星の降る夜空へ、一歩踏み出そうとしたその時だった。


「綺麗だねぇ」


後ろから聞きなれない声が聞こえた。


「何回見ても、やっぱり綺麗なものは綺麗だ」


見知らぬ人。しかし、その姿にはどこか不思議な懐かしさを感じさせた。


「…あぁ、そうだったね。君には、自己紹介をしなくちゃいけないんだったね」


ゆっくりと微笑むその姿は、まるで目の前の存在が人でない何かなのではないかと思える程に美しかった。


「"はじめまして" 僕の名前はーー」

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星と化け物 間上 菜子 @konami15

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