手相は申し分ないんだけどね

第1話

　愛情不足で育った人の特徴、愛着障害、こんな動画がおすすめに毎日出てくるがスクロールする。何故か見れない。

　たぶん、きっと、いや何故かではなく怖いからなんだと思う。

　言葉にできない感情で分かっているのに・・・何かに気づいているのに・・・でも知っている恐らくだが該当者ではない。

　保育園では、知能がゆっくりの子を通りすがりに叩いた事、実習生のお姉さんが優しくておんぶを四六時中せがんだ事、顔に特徴のある子をいじった事、運動会の徒競走ではわざとレーンを外れ「可愛い」を演出した事。気も力も強い男の子と喧嘩ができた事。

　小学校では、特定の友達ができずいろんなグループを渡り歩いた事。階段に石鹼水を流したり、入室禁止の教室で遊んだりよく怒られた事。下級生をくだらない事で怒鳴ったり、だけど何故かいつもニコニコしてると褒められた記憶もある。

　意識的にいや無意識に口角を上げる事をしてただけ・・・

　中学でも、ひとりぼっちになった事はないが、やはり特定の友達ができず周りがキラキラしてて羨ましかった。

　高校でも同様だったが、愚痴や悪口ばかりの子たちの話を聞くのが本当に嫌であまり接点を持たないようにした。

　変わった子と言われる子との触れ合いや、漫画を貸してもらえた事はすごく嬉しかったし楽しかった。

「ダメ」だとされる事もした。

　大人になっても触れ合いというのが下手くそだ。

　言わなくてもいい事を言って後悔する。例え誰も傷ついたり嫌な思いをしていないだろう雰囲気でも後悔する。

　なぜ周りはあんなにもキラキラに見えるのか。楽しそうなのか。羨ましい。

　私は優しいと思われているらしい。だけど優しいと思われる事が当然と思っている。

　心の底は真っ黒なのに、確実に「地獄」へいくとわかってるのに。

　地位も名誉も何もないのに、特別な事をしている想像を常にしている。

　仕事はしてないし、嫁としても、妻としても40点なのに「褒め・認め」てくれない家族を悪だと決めつけている。

　自分の感情や経験が正しいと思って子供と接しているのに、

　両親に似ている自分を認識すると、こんな母親でいいのかと反省し子供に申し訳なく思う。

　残虐な事件や事故、陰湿ないじめのニュースを見たり、死について考えるととても怖くなる。

　そしてそんな思いをさせるために産んでごめんなさいと思う。

　何もない私を母親にしてくれて本当にありがとう。

　生きるとは難しい。死ぬのは怖い。本当に面倒くさい嫌な人間だ。

　手相は申し分ないのにな・・・