終幕『西には行かず-GO WASTE!-』
ある大学のカフェテリアに、
二人は昨今のニュースだの、読んでいるマンガ
「あーあ、私もゲンジョウみたいな
「何だ、
筋肉質な青年は、茶髪の女学生の唐突な言葉に訝しんだが、特に自分を否定する事も無く返した。
「それがねー、私の友達が
「ふーん、それで?」
茶髪の女学生は
「何でも、外を独りで歩いていると背後から何かの気配を感じるんだって」
「ストーカーだな、
「それがね、背後に何かの気配を感じて振り返っても、人が隠れられる場所はどこにも無いんだって」
「じゃあ気のせいだな」
取り付く島も無し、けれども筋肉質な青年には情が無い訳でも無い。
もしも仮に全ての生物が化けて出ると言うのなら、この世で生まれた全ての生き物は現在生きている生物の数を大きく
つまり、そもそも彼は霊感こそあるが、心霊現象には否定的と言える。
「とにかく、ストーカーじゃなかったら気のせいだ。特に被害が出てないんだろ? 被害が出ていないのなら、存在しないのと同じだ」
時は変わり、
筋肉質な青年は独りで住宅街を歩いていた。
「世の終わりが来る、この世のどこにも
時間帯のせいか、住宅街だというのに人通りはまるで無く、道には終末論者らしい坊主が教義を語っているだけだった。
(あの胡散臭い坊さんのせいで、人が寄り付かないのでは?)
筋肉質な青年はそう
その時、夕暮れだった筈の周囲が急に暗くなった。
何事かと筋肉質な青年は振り返ると、そこには身の丈十メートルはありそうな
その口からはまるでマンモスの様な長大で
「おお、これはいい。ようやく美味そうな人間が見つかった」
巨人は
そんな巨人を、筋肉質な青年は
「痛っ! ええい、
暴れるなと言われ、暴れない人間はそうそう居ない。
巨人は筋肉質な青年を捕まえようとするが、彼はスルリと手の内を逃れる。
「消えろ、ゴミ野郎」
筋肉質な青年は巨人の脛を蹴り、脛毛を千切り、巨人が素足に
「ぐあああああっ!」
巨人は
巨人が消えた住宅街は、日影が無くなり時間相応の明るさとなった。
「全く、
筋肉質な青年はそうボヤきながら、さも何も無かったかのように歩き続けた。
* * *
ある大学のカフェテリアのテラス席に、一見痩躯だが筋肉質な青年と、どこかサルの様な印象を覚える軽快な雰囲気でスレンダーな茶髪の女学生とが居た。
二人は直近の出来事であったり、知り合いや友人の近況を互いに話し合っていた。
「ところで、一つ目巨人の骨格って実在するの、知ってるか?」
「いきなりどしたの?」
茶髪の女学生は、筋肉質な青年の唐突な言葉に
「まあ聞いてくれ、一つ目の巨人の正体はゾウなんだ。ゾウの頭蓋骨って額に穴が空いているんだが、それが一つ目巨人の様に見えたって訳だな」
「えっと、何で急にそんな話を?」
「いや、つい昨日ゾウの骨を見てな。急に話したくなったんだ」
「はぁ……」
そう愚にもつかぬ、下らない物言いを互いにしては、互いに呆れたり笑ったりしていた。
その時、二人が座っているテラス席へと
「世の終わりが来る、この世のどこにも
大学の
「あーなんか最近多いよね、ああいう人の心の隙間に付け入るタイプの布教してる人。うちの学校も
うんざりした様子で語る茶髪の女学生を尻目に、筋肉質な青年はささやかに
GO WASTE!-俺は奴らにとって、怪異の怪異- 新渡戸レオノフ @LeoNitobeLeonov
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