変化
「ん、んん……」
カーテンから漏れる陽の光が顔に当たり、眩しくて目を覚ましてしまう。
「ふぁ……」
大きなあくびをしながら、俺は辺りを見渡した。
ここはホテルで……あ、そうだった……
昨日振られた後、そのまま家に帰る気にどうしてもなれなくて仕方なくホテルに泊まったんだっけ……
周りは楽しそうにしてる中、俺だけが浮かない顔をしてたから、フロントの人にすごい不思議そうに見られたよな……
まぁ当然と言えば当然なんだけど。
「はぁ……」
俺はベッドに横たわったまま、盛大にため息を吐いた。
あーあ、これからどうするかな……
いや、とりあえずホテルは出なきゃ行けないから支度した後に家に帰って……
そして、思いっきり泣こう……
そうして、しばらくした後、俺はベッドから起き上がり、顔を洗うために洗面所へと向かった。
蛇口からお湯を出しながら、鏡の前に立った時だった。
「……は……?」
鏡に映った光景に俺は思わず、そんな声が出てしまった。
何故なら目の前にいるのはどこからどうみても女の子だったからだ。
髪はセミロング程で腕は細く、その割には胸はかなり出ている。つまり大きい。
顔なんてかなり整っている。
瞳は大きいし、鼻も高い。
はっきり言ってかわいい。
「な、な、なな……」
目の前の光景が信じられず、俺は自分の顔をペタペタと触ってみる。
もちろん鏡に映っているのは俺自身で、つまりそれは俺が女の子だということになる。
「なん……で……??!」
事態が全く飲み込めず、俺の頭の中は混乱するばかりだった。
これは夢か??!
そうに決まってるよな!
だって、性別がいきなり変わるなんて、そんな漫画みたいな出来事……
そう思いながら、俺は自分の身体をペタペタと触り始めた。
「……」
男の時とは違う肌の感触。
やけに柔らかい。
「……」
俺はどこか罪悪感を覚えながら、胸の辺りを触ってみた。
「ん……」
突如として走った感触に俺は思わず、声を出してしまった。
慌てて口元を抑える。
ちょっと待て!!
今の俺が出したんだよな……?!
なんで変な声を出すんだ!
いや、まぁめちゃくちゃ柔らかいから仕方ないよな……って違う!
邪心を払拭するように俺は勢いよく、蛇口から出てきたお湯で顔を洗い出した。
どうやら夢でもなんでもなくて、これは現実らしい。
なんだっていきなり女の子になんてなってしまったんだ……
それにそこそこかわいいし、スタイルも良くて……
いやまぁそれは今置いておこう。
とりあえず、この状況どうすれば……
大恋愛から失恋した俺は気づいたら美少女になっていました。 あすか @gantz001
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