大恋愛から失恋した俺は気づいたら美少女になっていました。
あすか
終わりの始まり
今日は大好きな彼女と付き合って1年記念日。
俺はバイトをありったけ詰め込み、必死になってお金を稼いだ。
理由はもちろん、彼女と盛大にこの日を祝う為だ。
夢の国のマルチパスポートを手に入れ、
パーク内にある人気ホテルまで予約した。
全ては彼女とこのかけがえのない一瞬を祝う為。
全て順風満帆に行く…‥はずだった。
「あのさ、別れよ」
日も落ち、夜になり、夜のパレードを見ようと大勢の人が広場に集まっていた。
そんな中、彼女から耳を疑うようなセリフが発せられたのだ。
「え……?」
彼女が今なんて言ったのか、つい自分の耳を疑ってしまった。
「なんていうか、やっぱり好みじゃなかったんだよね」
繋いでいた手を振り解くようにしながら、彼女はそう言った。
「男らしいところはまったくない上に女の子みたいな顔してるし。最初はかわいいかもなんて思ってたけど、やっぱり無理だったわ。最近分かったんだけど、あたし、鍛えてる人の方が好きかも。あ、だからって身体鍛えるとか言わないでね。もっと年上の人がいいから」
「……」
衝撃的すぎる言葉が次々と彼女の口から発せられ、俺は何も言えずにその場に立ち尽くしてしまっていた。
確かに昔から女顔だとはよく言われてきた。
だが、そんな俺を受け入れてくれたのが彼女のはずだった。
だからこそ、俺は彼女を大切にしようと必死に……
(うわ…きっつ……)
(なんか聞いてるこっちまで悲しくなってきたわ……)
俺がグロッキー状態の中、周りからそんな声が聞こえてきた。
この状況、まじで晒し者じゃん……
誰が好き好んでこんなシチュエーション用意したんだよ……
心の中で誰を恨めば良いのかわからない状態だった。
「というわけで別れよ。じゃあ先帰るから」
あっけらかんとした感じで彼女は手を振るとその場を足早に去っていった。
一方、未だに状況が飲み込めず、立ち尽くしたままの俺。
とりあえずわかっていることは俺が盛大に振られたということだけだ。
「……は、はは……」
そして、やや経ってから乾いた笑いが出てきた。
人って絶望感が最大になると笑ってしまうんだな……
そんな俺の前をカップルが数組通り過ぎていく。
羨ましいよ……
おれの恋、終わっちゃった……
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