第13話 青雲

十三 青雲


「「こんにちは!」」

「は〜い、開いてるからどうぞ〜」と声が聞こえる。

 ドアを開ける美咲と加奈。

「いらっしゃ〜い!」と笑顔の由衣が出迎えてくれる。

 ここは埼玉の北西部。静かな田園地帯にある駅から近い住宅地。

 ここに拓哉と由衣の新居がある。

「どうぞ、入って〜。遠かったでしょう〜」

「ううん、そうでもないよ。駅からは十分に歩ける距離だったし」と美咲。

 リビングに案内されていく二人。

「へ〜っ、いいウチだね〜」と加奈。

「建物はけっこう古いけど、リフォームして中は色々直したの」

「一戸建てにこだわってこんな田舎になっちゃったからね。ちょっと不便だけどまあまあかな」

「どうして一戸建てにしたの?」と美咲が聞く。

「うん、やっぱり、マンションだと色々と気兼ねしないといけないから、大きな音とかまずいし」

 恥ずかしそうに言う由衣。

「たしかに二人のような普通じゃないプレイするには、このほうがいいだろうね」と納得する加奈。

「うん、泣き叫んだりしてもここなら大丈夫だし‥‥‥」

「あははは‥‥‥、ホントあいかわらずなんだね」と苦笑する加奈。

「うん、いっぱい調教してもらってるから」

 幸せそうに微笑む由衣。

「今、拓哉さん、近くまで買い物に行ってるの」

「普段は家にいるんだっけ‥‥‥」

 部屋をいろいろと観察していた美咲が聞く。

「うん、基本はテレワークだからいつも家にいてくれるの」

 その笑顔はラブラブの新婚新妻そのもの。

「そうだ、由衣、お腹、ちょっと出てきたね」と美咲。

「うん、今五ヶ月目に入ったから」

「赤ちゃんか〜」と感慨深そうに言う美咲。

「バージンの美咲にははるか先のことだね」と加奈が突っ込む。

「そんなことないって、大学のサークルで知り合った同級生からこの前交際を申し込まれたの」

「へ〜、よかったじゃん、これでやっとバージン卒業かな」

「そ、そ、そんなこと‥‥‥」と赤くなる美咲。

「ほら、やっぱりおねんねだ」

「加奈は彼氏とはどうなの?」と由衣が尋ねる。

「うん、まあ、腐れ縁みたいな感じかな‥‥‥」

 少し照れる加奈が可愛い。

「そんなこと言って、いまだに超ラブラブのくせに〜」

「あ、お湯が沸いた」

 キッチンに行き、由衣が紅茶を淹れてもってきた。

「なんかすっかり若奥さんって感じだね、由衣は」

 感心して言う美咲

「由衣すっごく大人の色気が出てきたね。セクシーっていうかエロさが半端ない感じだし。一番変わったかな」

「そうかな、ありがとう。妊娠してるからだと思うけど。今は幸せいっぱいなの。拓哉さん、調教はすごく厳しいけど、いつもはすごく優しいし‥‥‥」

「はいはい、ごちそうさま」

 呆れて笑う加奈。

 部屋をいろいろ見ていた美咲が由衣に聞く。

「この先って寝室?」

「ちょっと見ていい?」

「えっ、い、いいけど」

「おじゃましま〜す」

 ドアを開けておもいっきり固まる美咲。

「え‥‥‥!」

「どうした?」

 入口で言葉をなくしてる美咲を見て加奈が駆け寄り、部屋の中を見て驚きの声をあげる。

「うわ〜〜っ、すっご〜い」

「ごめんね、ちょっと変わってて‥‥‥」と恥ずかしそうな由衣。

 広い寝室はクッションフロア張りで壁際に拘束椅子や、天井には梁があり、そこからフックとかが下げられていて、壁には薔薇鞭やロープ類など、それはSM部屋そのもの、といった感じで、奥のほうには四隅から手枷足枷がついたチェーンが伸びてる大きなベッドがあった。

「ごめん、入らない方がよかったね‥‥‥」

 苦笑いしながらドアを閉める美咲。

「ううん、いいの。二人には別に隠さないし」と恥ずかしそうな由衣。

「さすがだね。ここまでとは思わなかったけど‥‥‥」

 加奈も照れくさそうに言う。

「よかったら彼氏と泊まりにきて使ってくれてもいいよ。私と拓哉さん、もうひとつの寝室でも寝れるから」

「いやいや、そんな、無理無理」と苦笑いする加奈。

「そうだ、美咲、新しく付き合う彼を誘ってみたら? 興奮して襲ってくれてバージン卒業できるんじゃない」と無茶振りする加奈。

「え‥私‥‥‥そ、そ、そんなこと、で、できるわけないじゃない、変態兄貴とは違うんだから」

「‥‥‥誰が変態兄貴だって?」

 いつの間にか玄関側のドアのところに買い物から帰ってきた拓哉がいた。

「あ、おかえりなさい」

「加奈ちゃん、久しぶり、いらっしゃい!」と笑顔で声をかける拓哉。

「あ、拓哉さん、ご無沙汰です。お邪魔してます」

「よ、よう」

 バツが悪そうに拓哉にへんな挨拶をする美咲。

「やっと彼氏できそうなのか、よかったな」

「いや、まだ付き合うってきまったわけじゃないから‥‥‥」

「もうすぐハタチなんだから、そろそろバージン卒業して性の快楽を覚えたほうがいいぞ」

「え、な、なに言ってんの、バカ、変態!」

 真っ赤になる美咲。

「拓哉さんに色々教えてもらえば? 美咲なら丁寧に調教してもらえると思うよ」とにっこりと突っ込む由衣。

「由衣、それ大丈夫なの? 拓哉さんが他の女性調教したりとか」

「うん、全然大丈夫」

「それもすごいね」

「だって生活では奥さんだけど、私、拓哉さんの肉奴隷だから、ご主人様が何をしても従うだけ。それに私への愛は変わらないって信じてるし‥‥‥」

「‥‥‥すごいや、由衣も」と感心する加奈。

「美咲にも女のたしなみを教え込んであげようか、彼氏に捨てられないように」

 拓哉が意地悪そうに美咲に言う。

「バカ!何言ってんの、兄妹でしょ」

「そうね、でも真面目な話、拓哉さんに教わったほうがいいことだってあるの。普通の彼だと安全に肛門開発とかしてくれないでしょう」

「そ、それはそうかもしれないけど、でも肛門なんてそんなことしなくてもいいじゃない」と美咲。

「よかったら加奈はどう?」

「え、わたし‥‥‥う〜ん、ちょっと興味はあるかな‥‥‥」

「じゃあ今度ひとりで泊まりにおいで、おねんねの美咲は置いて」と意地悪っぽく言う拓哉。

「もう、そうやってみんなで子供扱いするんだから、いいよ〜! 私はノーマルの人だから。加奈もこっちの世界にいてよ〜〜」

「美咲、そうは言うけど、でもわからないよ。美咲には拓哉さんと同じ血が流れてるんだから」

「げっ‥‥‥・」ソレハソウダケド‥‥‥

 美咲の苦虫をつぶしたような顔にみんなの笑いが広がる。

「さあ、今日はゆっくりしてね。久しぶりに三人で夜更かししちゃおう!」


 高校卒業から一年、久しぶりの再会の時を満喫する仲良しトリオだった。



           親友と兄貴の秘密 〜オナニーと恋と調教と    完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

親友と兄の秘密 〜オナニーと恋と調教と〜 TITO (ティト) @macky415

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ