第17話 第一章エピローグ
元勇者ユウキが、突撃して来たけど、『ガーディアン』がボコった。
称号を失った異世界人……。俺からすると、一般人と変わりない。
「ちくしょう! てめぇは、なんの
「答える必要がないですね。まあ、想像に任せますよ」
それに、飛空艇や『アタッカー』は、あくまで私がこの世界で生活するための"おまけ"なんだ。
さて、時間の無駄だ。こいつの処遇を決めるか。
でも、考えるまでもないな。
「う~ん。他の大陸に追放にしようか~」
「えっ?」
ナユさんが、私の言葉に驚いた。
「他の大陸の
元勇者ユウキは、顔を真っ赤にして罵詈雑言を発して来た。
ナユさんが、拳で黙らせる。すっごい堅い音の後、勇者ユウキが黙った。……死んでないよね?
大きなコブだけだよね?
その後、スカイウォーカーに括り付けられて、勇者ユウキが運ばれて行った。頑張って生きてくれ。
「何処に向かわせましたか?」
「最難関の
ふう……。再会は祈りたくないな。というか、アカシックレコードで未来を知っているんじゃないの?
最低でもこの大陸には、戻って来ないで欲しい。
◇
その後、混乱が起きたけど、私に勇者の称号が宿っていると分かると、一般市民は落ち着いた。
王族の称号とは異なるんだろうけど、大陸に住んでいる限りは、勇者に従う義務が発生するみたいだ。強制力でもあるのかな?
まあ、異世界人は別みたいだけど。
特例がある時点で、あんまり意味のない強制力だよね。
私の出した法律は以下だ。
『人を殺せば死刑』、『人を傷つければ処罰』、『物を盗めば処罰』、『納税』、『勤労』、『教育』の六条のみに改めた。
まあ、対して以前と変わりない。私のちょっとした知識を加えただけだ。
国家とまでは行かないけど、人が集団を形成する時に最低限必要な法律かな?
本格的な国家とするのであれば、日本の法律でも適用するのもいいかもしれない。
アカシックレコードから情報を引き出し、量子コンピュータと万能AIを用いれば、治安は安定するだろう。『ガーディアン』も大量にいるしね。
数日で変化が起きた。大陸中でだ。
武器を没収して、仕事を斡旋したら治安が良くなった。もうちょっと貨幣を流通させてもいいかもしれないな。
「金貨でも作りますか? 安価な銅貨でもいいかもしれませんね。そちらを正式通過にすれば、贋金を作っている連中も慌てるでしょう」
ナユさんを見る。思考を読まれているみたいだ。
「それだけの金属が流通しているとは、思えないのですが?」
「セイさん所有の鉱脈に取りに行きましょうよ。勇者の撃退を行ったので、大量に産まれているでしょう」
これが、報酬になるのかな? 鉱脈の意味を取り違えていたのは、私か。
飛空艇で
「良かった。誰も侵入していないみたいだ」
「隠された大地ですからね。心配なら、巡回ロボットを配置してもいいかもしれませんね。ドローンなどどうでしょうか?」
最終的に、住人を考える必要があるかもしれない。まあ、当分先だな。
「空間が歪んでいるのかな? 随分とインゴットが多いですね」
宝箱の中は、山のようなインゴットが入っていた。宝箱の入り口は、1メートル×80センチメートル程度だ。
最終的に取り出したインゴットは、10トン程度になった。取り出すのが面倒だったよ。
『クラフト』が持っているのは、〈収納魔法〉になるのかな? 便利な魔法だと思う。前世でも欲しかったよ。
「これでまた色々と作れますね」
「セイさん……。研究者だったみたいですが、なんの研究をテーマにしていたんですか? 都市のデザインから、建築業、農業、薬品……、知識の幅が広すぎます」
「…………」
研究テーマ? 書いた論文が多過ぎて分からないな。
「あれ? そういえば、私の前世の研究テーマってなんだったっけ?」
でも、まあ良いか。異世界で新しいモノを作れる。それと魔法だ。興味がある。
「思考する環境があるのであれば、私は不満がないんだな~」
夢破れた研究者は、異世界でも研究がしたい 信仙夜祭 @tomi1070
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます