ぼく=僕

無知を振りかざして夜

明日まであと二歩

「常識」に僕を溶かし込んでいく

安心は買えないんだ

歓心を買うだけの

笑顔も才も無い


弱さにだけ目を向け

こんなんじゃダメだと

強みがどこにあるかは分からず

何時を待っているのか

何処を目指しているか

僕の顔も忘れたんだ


太陽と月の遊びに引き摺られ

未来も過去になる 自分も禍己かこになる

太陽と月は敵なんだ

僕を置いて行ってよ


天才になりたかった

英雄になりたかった

不相応な夢で潰れてく

そんな痛みが愉快だ

一目置かれたかった

称賛されたかった

何者にもなれない僕なら

気兼ねもなく

見捨てて忘れられる


無理を通して夜明け

理想まであと何歩?

「世の中」に僕を溶かし込んでいく

三振じゃ映えないんだ

肝心のこの僕が

結局今はどこを歩いてるんだ?


捨てた自分自身に

呪われ自縄自縛

ため息に自己嫌悪が混じる

視界の端が翳り手足の先から

また黒ずんだ夢が蝕む


現実は平坦か?空想は激動か?

誰かが捨てればもうそれは無価値なのか

この手で作り出すの この足で歩むの

迷走しても軽傷 たかが人生だ


思い出と傷の喧嘩に吞み込まれ

明日も過去になる 自分もいなくなる

思い出も傷も大切だ

僕が笑うには


「僕」が必要だったんだ

狂信と言われたとしても

頼りにしたい皆ももうすでに

自身で手いっぱいだ


天才になれなかった

英雄になれなかった

破れた夢の跡が刻んでく

この僕が愉快だ


一目置かれなくていい

称賛されなくてもいい

何者にもなれない僕なら

気兼ねもなく妬みもなく

余所見もなく

拾って集められる


その欠片がその一つが

僕なんだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

存在しないボカロ曲の歌詞 鵼代 @megahonn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る