9. 授業
扉が開き、そこにいたのは綺麗な女の人だった。
不敵な笑みを浮かべながら堂々と入ってくるその人は、いかにも冒険者という服装をしている。
露出の少ない服に、丈夫そうな靴。
腰にはいくつかのポーチと剣がぶら下がっており、太ももにも短剣がある。
ポニーテールにされた紫の髪が歩くたびに揺れ、赤色の瞳が興味深そうに私を眺めている。
「やぁ、初めまして。私がこれから教師を務める、クリスタ・フォン・アレシアだ。この国の第2王女ともいう。父上と副団長殿から話は聞いた。2ヶ月間みっちりしごくから覚悟しておけよ?」
王族が冒険者してるってこの国どうなってんのさ。
この人も私の秘密を知る数少ない1人になったようだ。
「木下燈です!短い間ですが、よろしくお願いします!」
「あぁ、早速だがスケジュールを決めてきたので読み上げるぞ」
午前は文字の勉強、午後は歴史や国語、体力づくりらしい。
ついでに早朝は自主練がある。
1ヶ月間は体力づくりメインで、その後はより実践的な内容になるらしい。
初日である今日は一般知識を詰め込み、早朝のランニングコースを一緒に走るらしい。
「何も質問がなければ、早速授業といこうじゃないか!」
「ありません!よろしくお願いします!」
王族なのに冒険者をしている理由が非常に気になるけど、流石に初対面で王族にそんなこと聞けない。
不敬だ!とか言われるかもだし......
今日は大人しく授業を聞くことにしよう。
まずはこの世界についてだ。
この世界には魔力という物質が存在しており、それはほとんどの動植物に宿っているらしい。
一般属性が火・水・風・土で、その派生で氷とか色々あるっぽい。
あとは無・光・闇などがある。
魔法属性は細かく分類するとキリがないらしいので、今はこれだけ知っておけと言われた。
属性は大体遺伝だけど、後天的に身に付けることも可能ではあるとか。
一定以上の魔力を持つ生物には魔石というものが存在する。
それは人間も一緒で、大体は心臓の近くにある。
魔石はその生物の魔法属性を帯びていたり、宿主が使っていた魔法が行使できる物もあるそうだ。
そのため特殊な魔法を使う一族や貴族を乱獲しようとした歴史もあるらしく、今は法律で人の魔石を取り出したり、使用しないと決まっている。
現代では亡くなった場合に遺品としてのみ、取り出せるらしい。
魔力量には具体的な数値はないらしく、測定器の光の強さでランクが決まるらしい。
「水晶に手を置いて、ピガーーー!と光ったら結構すごい」
とは先生談である。
全然分からん。まぁ見たら分かるらしいのでスルーしておこう。
そして種族について。
この世界には人間・獣人・ドワーフ・エルフ・魔族がいる。
人間は地球と同じ感じ。魔法使えるくらいしか違いはないみたい。
獣人は『ハイル』というケモミミを持っている。
かなり遠くまで聞こえるので、獣人同士ではこれで会話するらしい。
便利ではあるんだけど、人間で言ったら大声で叫んでるのと同じ感じらしいので機密性は全く無い。
魔法というよりは、近接戦が得意らしく騎士や冒険者として活躍する人が多い。
お次はドワーフだ。
大体の人は鍛治に関する仕事に就くらしい。
小柄で筋肉質、髪の色は大体が赤毛か茶色で男性は髭を蓄えている。
魔力で鍛えた武具に定評があり、王室御用達の看板を目標にしている人が多いんだとか。
エルフは色白で耳が長いのが特徴。
成人の儀式で片耳を開け、結婚するときにもう片方の耳を開けるんだって。
だから婚約指輪じゃなくて、イヤリングが主流。
魔法や弓などの遠距離が得意で、近接戦では主に短剣を使うらしい。
魔導技師として活躍する人も多いみたい。
最後に魔族。
魔族に関してはあまり知られていないらしい。
昔は戦争とかしてたみたいだけど、今は関わりがないっていうのが近いかな。
肌の色が褐色で、羽を持つ者がいたりと姿は割と様々。
繁殖力が低く人口は少ないが、能力はとても高く個の強さでは魔族が一番なのでは?と言われている。
この世界は大陸が2つあり、小さい方に魔族、大きい方にその他の種族が住んでいる。
アレシア王国は大陸の左寄りに位置しており、海側(左)には商業都市アレリオ、右側にはツィースタ帝国がある。
その他に魔導都市エルシアやエルフの森などがあるそうだ。
「この世界についてはざっとこんなもんだ。全部覚えろとは言わんが、頭の片隅には入れておくことだな!」
今日の勉強はここまでらしい。
あとは自主練コースを走り、文字の勉強を少しして終わりだ!
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今日も短めです<(_ _)>
明日からは通常通りの長さになると思います!
転移JKの異世界行進曲 甘い梅干し @nyanso
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