第15話 親バカと遭遇する悪役
『決勝 期待の超新星ことアーク・ブレイ VS 無名の全身鎧 オール・パワー!! これはもうアークさ……には勝ちが決まったものですね!』
『ほほほ、厳し目のディアブロ殿も弟君が決勝とあってテンションが上がっているようだな!』
会場に戻り、決勝戦に入ると前回の脅しが効きすぎたのか、俺のことをヨイショしつつ紹介し始めた。
あれだけでここまで効くとはな。
ディアブロのメンタルがゴミということもあるが、しっかりと調整した方が良さそうだ。
「ふむ。貴様の実力見せてもらおう」
不肖の兄について頭の中で云々していると、対戦相手が渋い声が話しかけてきた。
なんだかよく聞いたことのある声の気がする。
デモン・ブレイ。
鑑定をかけると父の名前が出てきた。
目的は不明だが、素性を隠して闘技会に出場していたようだ。
最後にして一番の難関が出てきたな。
こいつは力至上主義の人間なので微かでも実力の片鱗でも見せれば、即次期当主になる可能性が高い。
極論ではあるが、ちょっとしたことでも実力を感じ取られたら命取りだから、できるだけこいつの前で攻撃を行いたくない。
戦わずしてこいつに勝つ必要があるな。
失格事項を狙っていくか。
デモンの剣に向けてデバフをかける。
すると剣があまりいいものではなかったようで、一瞬で破損した。
『こ、これは! オールの剣が折れた! 剣の破損は失格になる! 決勝で不本意ではあるが、相手の失格により勝者 アーク・ブレイ!』
「ふむ」
闘技が思惑通りに終わり、さて帰るかと思うとデモンが兜を脱ぎ顔を晒した。
「アーク! 運をも味方につけるとは見事! やはり貴様こそが次期当主に相応しい!」
会場の全員がまさかの人物の登場に目を向ける中、デモンは俺に向けてそう告げた。
そういえばこいつは重度の親バカだったな。
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次期当主となると主人公に殺されるので無能ムーブかましていた俺、敵を倒してスクワットをしていたところを婚約者のヒロインに目撃されて実力バレし、当主争いのダークホースになってしまう 竜頭蛇 @ryutouhebi
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