はいしんにっき 9日目
「じゃあ次何歌う?」
「そうだなー。割かし何でもいいけど。てかそろそろガチでソロで歌った方がいいんじゃね?」
「あー。ならそうしよう!まずは渡來からね!」
「えーまぁいいけど、、、じゃあこれにしようかな」
『YE〇L』
「あーそういや渡來合唱やってたなぁー」
[あ!!]
[この曲好きだわー]
[ふぇ!?]
[合唱してたの?]
[絶対うまいやん]
『私は今、何処に在るのと、、、』
「やっぱ上手いなぁ。大会出ただけある。」
[大会出てたんや、、、]
[ガチのヤツやん]
[そりゃ上手い]
『サヨナラは悲しい言葉じゃない───』
「うっ、、、、」
[感情が乗ってるなぁ、、、、]
[泣ける]
[泣いた]
[♪強くなれる]
[ちょうど受験生だったから、、、うっ、、、]
「はい、というわけでした。お粗末ですまんな。」
「あれをお粗末だとしたら全国のみんなが泣くよ、、、?」
[88888888]
[上手かった]
[そーだそーだ]
[自己肯定感が低いw]
[もっと褒めさせやがれーーー!!]
「じゃあ次雪で。」
「ん!それじゃぁねー、、これ!」
『ア〇ラク〇ライト』
「あー神曲ね」
「ほんとにね!」
[いいよなーーー]
[歌詞が神ってる]
[ほんと好きだもん。好きなんだもん]
『まだ青くて拙い───』
「声高いっていいよなぁー。性別的にあんな音出ないもん」
[それな]
[ってか貴方が言うな]
[白くん出してみ?ほら、高いでしょ?]
[それな]
『辞めてしまいたい理由なら───』
「お前は強いよな、、、まじで。」
[?]
[??]
[2人にしか分からない話があるんだよ]
[高音綺麗。]
[まさに鈴の音]
「っはーー。楽しかった♪」
「お疲れ様。次俺これ歌うは。光があれば闇もあるんだよ」
『限り〇く〇色へ』
[にじみ出る闇がぁー、、、]
[暗い、、、暗いよ、、、、!]
[落ちぶれてなんか、、、]
『才能なんてないから───』
「っっ、、、やっぱり君は狡いよ、、、」
[うっ!]
[感情がぁ、、さぁ、、、]
[これとーたんが出せるほぼ最底辺の音じゃね?]
『こんな才能なんて借り物────』
「そんな事ないよ、、、!!!」
[感情がないのに感情が伝わってくる、、、]
[なにこのきもち、、、]
[痛い、、、なぁ、、、]
「あざました。ある程度吹っ切れてるからな?」
「それでもだよ!次はこれ!渡來も歌うよ!」
『は〇』
「あー。なら、、、僕で行くね♪」
「おっけー☆」
〔「ただ夜の奥鼓動の音───」〕
[うわあ、、、]
[高音ハーモニー]
[綺麗だ、、、]
〔痛いの痛いの消えないの〕
「でもさ?君が語りかける───」
[やっぱ闇ィ!]
[泣きそう]
[くらいよーこわいよー]
[ほんとに救われろよ、、、?]
「「ありがと♪」」
「やっぱり渡來も上手いね」
「雪くんもだよっ!」
[うんまいしか言えない]
[流石ですぅ]
[もっと聞いていたい]
[最高ゥ!]
そんなこんなであっという間に1時間が過ぎていき、、、
「今日はこれで終わりだね!」
「みんな見てくれてありがと!それじゃあ」
「おつとくーーーーー」
[おつとくです。]
[声が良かった、、、、]
[お疲れ様でした。]
[また会いましょう]
────この配信は終了しました────
「お疲れ、渡来。楽しかった?」
「おう、そうだな。久々だったしな、、歌うのも。」
「でしょーーー。今日は何も考えずに楽しめた?」
「、、、まあな。」
「ならよかったっ!」
『自分が何なのかも、どうしたいのかも、好きなことも、嫌いなことも、将来の夢も、記憶も、何もかも思い出せなかい。トラウマばっかりで、ことあるごとにフラッシュバックも起きて新たなトラウマも増えて、普通でいたい。昔のように、ただ好きなことだけを思って、今のことも、勉強も、将来も、就職も、周りの目も何もかも考えずに、特別なんかいらない。ただただ普通で居たかった。それもできなくて、今の自分なんか誇れるわけなくて、理想の自分と、周りの期待と、過去に自分にただただ押しつぶされて、こんな苦しみも考えなくて良くなるならいっそ死ねばいいのに。誰かひっそりと僕を殺してくれればいいのに。そうしたら、楽になれるのに。』
あの日、もう耐えきれなくなって逃げた。感情を抱え込めなくなって吐き出した。あの日何があったかはよく覚えていない。ただただ無気力で、ただ自殺願望だけが無限に湧き出てきて、この首を切れば、血がとめどなくあふれてきて、喉にも逆流して、そして、数分もたてば死ねる。あぁ。まだ死にたくないはずなのに。もう止まれそうにない。このベットから降りて、目の前の机に引き出しからカッターを出してしまえばもう確実に僕が僕を殺してしまう。あぁ、あぁ、死にたい。手が自然と首に向かう。やっぱり、僕は駄目だったんだ。僕なんかじゃ生きていけないんだ。そんな時に、雪音が、いや、葵結が来た。無駄に詮索することもなく、ただそばにいてくれて、あの時何か話したわけじゃなかった。でもただそばにいてくれるだけで心地よくて、悪夢ばっかで寝れてなかったのにその日は寝れたんだっけな。
「あ、渡来ーーー。またいらないこと考えているでしょ。もう。渡来は僕だけ見とけばいいの。いい?ほかのことなんて考えちゃダメ!わかった?」
「、、、おう。」
結局、自分って何だったのかはわからない。記憶も未だ曖昧だし、夢も希望もない。僕の大切なものはすべた失われたままだし、今もふとした瞬間に死にたいと思ってしまう。でもその度に葵結が、白君が、黒君が、励ましてくれるから、「死ぬな」って、言ってくれるから。生きてさえいれば必ずいいことがある。そんなことは言わない。僕だって、あいつらだって、そんなことばかりじゃないって、知っているから。でも、生きてさえいれば、確実に、その時死んでいたらできなかった経験ができる。それが、良いことになるか。悪いことになるか。そんなこともわからない。でも、きっと、良かったって思えるようにもなれる。だって、あの日死ななくて、生きるっていう苦しい道を選択して良かったって、思ってる自分が今ここにいるから。
「明日の自分が後悔しないために今を生きる。かぁ、、、」
「え?何それなんかかっこいい。そんなのも小説書いてるからできるのかなーーー。」
「さぁ。わかんね。」
勉強でも、ただの雑談でも何でもいい。明日振り返れるように生きて、明日後悔しないように生きればいい。未来後悔しないため、とか、いつか胸を張れるように、とか、そんな大っぴらなこと言えないけど。これくらいならね。
「君が居てくれてよかった。ありがとな。葵結」
「え?何急にどうしたの?明日世界滅ぶ?」
「うっせーな。失ってからじゃ遅いって、あのころ痛感したからな。」
「、、。まぁ、素直に受けっとっておくよ。そしてこちらこそありがとね。」
「あぁ。これからもよろしく。」
「よろしくっ!」
これは、心を折られた少年が、前を向いて歩けるようになるまでの、そんなお話。
って考えてみたけどそれなら俺らはまだまだだな。でも、ちょっとぐらいは、進めたかな。
~完~
俺のVtuver物語 〜人生負け組?のドタバタ日記 ティク @thiku
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