第4話 メイドの七つ道具③中華ラップ
衝撃のファーストキッスの後、ラム肉は何食わぬ顔で掃除を始めた。
気付けば12時を回っていた。
「そろそろお昼の準備をするっちゃ」
「お、楽しみにしている」
食の好みが合うことはとても大事だ。
「苦手な食べ物はあるっちゃか?」
「特にないよ。量は、昼ご飯に多く食べ、夜は軽くしている」
「了解だっちゃ!じゃあ、今日は中華にするっちゃ!
包丁使っていいっちゃ?」
「もちろん」
トラ柄のスポーツバッグから冷凍ごはん、卵、葱、チャーシューを取り出す。
後ろから調理の模様を観察していたが、下ごしらえの手際がいい。
チャーシューは1cm角にサイコロ切り、葱は小口切り。
そしてバッグから赤い缶を取り出す。
「そ、それは...!」
「そう、ウェイ〇ーだっちゃーーー!」
我が家にビートが充満する。
「これはウェイ〇ー!
誰でも本格中華
旨すぎて連続休暇
この味にみんな夢中か?
市販でも特注だ!」
ラム肉の見事なラップに、私も応えねばなるまい。
「それは伝説の調味料
誰でもなれるぜ料理長
そうキッチンは闘技場
失敗したら逃避行 say!」
熱したフライパンにラードをひき、生卵を落とす。
すぐに温めた冷凍ごはんを投入し、勢いよくフライパンをあおる。
「「作ろうチャーハン
食費は折半
飲もうぜシャンパン
財布に寒波!」」
一言一句シンクロする。
米に卵が馴染んだらチャーシューを投入。
ここまでずっと強火を維持。素晴らしい。
「「もうお昼だ空腹
二人の意見は重複
チャーハンへの情熱
燃えすぎて病欠
休めない当月!」」
仕上げに葱をまぶす。そしてごま油をフライパンのヘリに垂らす。
2、3回フライパンを振ったら盛り付け。
「「いただきます!」」
最高の昼食だ。
専属メイドって話だったはずが、蓋を開けてみれば、食堂のおばちゃんだった。 @ikie
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。専属メイドって話だったはずが、蓋を開けてみれば、食堂のおばちゃんだった。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます