第10話 神木 湊の苦悩①
律からの宣言を受け、湊はいっそうやる気があった。しかし、文化祭は10月の初旬。今できることはちゃんと部活に参加して練習することだ。
月日は過ぎていき、5月の中旬となる。約1ヶ月間、湊は毎日部活に参加をしていた。同様に律もである。しかし、ここで問題に直面してしまった。約1週間後、定期テストがあるのである。湊は白楽園高校という高偏差値の高校には入れたが、勉強はできないのである。テスト1週間前になると部活動は基本的に活動は禁止である。例外もあるが。ここで湊は優菜の言葉を思い出してしまった。
「赤点をとると部活動の参加ができなくなっちゃうから気をつけてね。まあ、大丈夫だと思うけど。」
湊の顔は青白くなった。嫌なことを思い出した。
(勉強しないとまずい!)
そう思い、今日から勉強しようと決意する。
翌日、朝に起きた湊は絶望する。昨日勉強しなかったのだ。
「やべえ…。そうだ。今日は図書室に行って勉強すればいいじゃん。そうしよう。」
そう決意し、学校へ向かう。
(めんどいなー。今日はやめようかな…。うん、そうだ。明日、明日からやろう。)
図書室の前まで来たが、勉強から逃げる言い訳を自分に言い聞かせて学校を去ろうとするが、思わぬ出会いをしてしまった。
「湊。何してるの?」
乙葉だ。図書館で勉強をしようとしたのだろうか。
「え、いや別に。」
「そう?もしこの後何もないんだったら一緒に勉強しない?」
乙葉と勉強ができるというのは嬉しいことではある。しかし、湊は勉強をしたくない。本当に。
「乙葉先輩と勉強するのはいいんですけど、やっぱり、家でやろっかなって。じゃあ僕は帰りますね。」
「待って。」
湊は歩き出そうとしたが、止められてしまった。
「湊って勉強できないよね?」
乙葉はなぜか湊が勉強ができないことを知っていた。
「なんで知ってるんですか?」
「生田くんだっけ。前話しかけられたんだよね。そこで湊の話になったの。」
(くそっ、あいつ…)
「じゃあ湊。勉強しよっか。」
湊はもう逃げれない。今日の乙葉の笑顔は湊にとって恐怖だった。
サーカス少女に惚れてしまった僕の物語 志水 修二 @shimishujizu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。サーカス少女に惚れてしまった僕の物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます