散歩に出かけようとしたこと自体は良い思い付きだった。


春の空気が爽やかなのはいいが、風が強すぎる。


砂埃なのか植物の種子なのか花粉なのか、とにかく色々なものが舞っていた。


思い付きで近所の公園へ行こうと思った。


人がいるイメージなどなかった。


しかし、それは私が以前その公園のあたりを夜歩いていたからだ。


春休みの昼間にいけば当然親子連れや子供たちがいる。


多少の居心地の悪さは見ないふりをする。


私も一応市民の一人である。


男性の大きな声が聞こえた。


どうやら子供を叱っている。


子供が泣いている。


父親が怒っている。


教育の名のもとに人格否定や能力についての罵声がまかり通る。


最悪の気分が数分続いたので、私は仲裁に入る想像をした。


教育の名において裁かれるのは私だろう。


教育者たちの権力に立ち向かうほどの信念も無いので、


私は逃げるように公園を去った。

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私の人生に一つでも多くの詩を 神谷カラス @kamiya78

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