第3話
お待ちしてましたよ!!!!
大きな声で歓迎されてしまった
「な、なんですか?」
「昨日の依頼ですよ~!依頼者さんがすごく喜んでましてね、彼ならきっといい冒険者になるってお墨付きまで!」
「そこまで喜んで貰えたのでしたら僕も嬉しいです」
「謙虚なんだから~~~」
協会に所属する受付けの彼女は背が高くすらっとしたクールめのお姉さんだ
依頼受注の打診をしてくれたのも彼女だ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「収穫…ですか?」
「はい。依頼ランクや内容のせいかどなたも引き受けてくださらなくて…」
「はい、まぁ、そういうことでしたら…」
「本当ですか!!ありがとうございます。;;
いつも受注してくださる方が遠征中でしてどうしようかと…」
「今から向かっても?」
「もちろんです!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
簡単な依頼だったとはいえ得るものはあったのだし
感謝されるだけでなく彼女からの評価ももらえたようだ
「依頼料につきましては指定の口座に振り込ませていただきました。
もちろん色も付けておきましたよ。」
ウインクが飛び出してきそうなくらいの声色だった
あのおっさんほんとに言ったのかよ
「ありがとうございます。今日もなにかおすすめの依頼とかありますか?」
「ありますよぉ~!」
これもこれもこれも、と山積みの依頼書が紐解かれていく
説明を受ける中で気になるものがあった
「これは?」
「これはですね…」
簡単な話、人探しであった
名家の令嬢が家出をしたらしい
いつものことらしく念のために捜索依頼が出されているらしい
「いつもでしたら次の日には取り下げられているんですけど…」
日付は一昨日、取り下げの連絡も来ていないようだ
「これをお願いします」
「承知しました。詳細な情報はこちらになります」
さすが名家といったところか、大きくそびえたつ城のような家をお持ちのようだ
とにもかくにも捜索状況を確認しなければならない。
これで取り下げ忘れであれば良いのか無駄足なのか…
大きな門の前には衛兵が一人立っており平和な日常が伺える
こちらに気づいてはいるものの話しかけられるまでは対応しないつもりのようだ
「こんにちは」
「うむ、何か用かね少年」
「協会の依頼を受け詳細の確認に参りました」
「あいわかった、しばし待たれよ」
50代後半と見受けられる衛兵さんは城内に魔法紙で確認を取っている
対を成す紙同士では筆談ができる代物だ
「うむ、確認がとれた。よく来てくれた!少年よ、主がお待ちだ。
後のことは門をくぐり中にいるメイドに聞いてくれ、話は通してある。」
「ありがとうございます」
「私も心配なのだ、すまないが代わって捜索に尽力してほしい。」
「よく家出なさるというのは本当なのですか?」
「そうだな、よくあることだ。お年頃故に自由を感じたいのだろう…しかしいつもであれば私に一声か
けてくださるのじゃが…」
「いつもの行先はどこへ?」
「街にご友人がいると聞いたことがありますなぁ…私もてっきりそこへとばかり」
「長く滞在しているのではないんですか」
「うむ、そう考えたいところなのじゃが。一泊以上はしないとした約束を破ったことがなく
杞憂であればいいのだが…」
衛兵さんを後にし、門をくぐった
話によれば今回はイレギュラーなことらしい
しかし、約束を破ってしまった、うっかりしていた、楽しくて帰りたくなかったのだはないかという
考えが捜索の手を鈍らせているのだろう
実際、この街での捜索依頼は動物などがほとんどで人攫いなどは直近で発生していないらしい
こうしている間にもひょっこり帰宅を成し遂げ優雅に自室で寝ているのかもしれない
「お話は聞いております」
ドアの先でスムーズに案内され、二階に足を運ぶ
格式の高そうな奥の部屋に着いた
コンコン
ノックをするのは礼儀だったような気もするので音が響く強さで二度ドアに拳を打ち付ける
「入ってくれ」
若い男性の声が招き入れてくれた
話は概ね衛兵さんのものと変わらなかった
しかし父親と思わしき人物からはいら立ちが感じられた
「こんな忙しい時期に…」
小さくつぶやいたのだろうが静まった部屋にはふさわしくない声量であった
「状況は概ねつかめました。ご息女がお見えになりましたらお急ぎで教会までのご連絡をお願いします。」
「わかった。連絡は迅速に行う旨、使用人には聞かせておく。」
「では」
大きなお家を後にする際、違和感を感じた
なぜこの邸宅には魔法の痕跡がないのだろうか
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わかってよそれくらいのこと @tsukieda
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