櫻岾奇談につながる、ゼロ地点のお話です。氏の作品は怪談の雰囲気と、日本文学的な抒情豊かな語りが特徴的!同時に、どこかコズミックホラー感を感じるのです。幽霊や怪異への畏れだけではない。世界や、まったくもって抗い難い、いわば運命そのもののような災厄。そんな災厄に対して、現代人がシニカルに立ち向かう。こんな美学が通底しているように思われるのです。小野ワールドの端緒たる、本作をぜひお読みください……
この作者の著す『櫻岾奇談』シリーズ。その始まりを知る事が出来る物語です。 シリーズの欠片でありながら、一つの話として完成された本作。一度知ってしまったら、更に先の話を読みたくなる。 不可思議とリアルの同居する、この世界感に浸ってみてください。
あちらとこちら、あるいは……確かにどこかに濳んでいる世界を、美しい文調で浮かび上がらせてくれた……そんな感覚を覚える美しい揺らぎの世界です。是非……