第3話 盗まれちゃいました

「ふーやっっと終わったー」


結局その日は午後から家の建設作業を手伝い、報酬をもらった。


「半日働いてたったの銅貨30枚って、おいおい」

『まあ2人分合わせたら60枚だから』


銅貨10枚で1食分くらいだ。

宿も泊ったりすることを考えればもう少し蓄えが、というか金が欲しいところ。


「なあ、やっぱり装備買って先に進んだほうがいいんじゃね?」

『ま、まあ、もう少しここで蓄えようぜ』


単純計算で1日働いても銅貨60枚、すなわち銀貨1枚と銅貨10枚。

一方剣や鎧をそろえるのに必要な金は銀貨3枚あれば足りる。むしろお釣りがかえってくるほどだ。


俺とツルギはその日、旅人用の格安宿を探すも、どこも満員だったため結局野宿をすることにした。


「どこも空いてなかったな」


近くの川で採れた魚を焼いてほおばる。

ちなみに、今日なんにも食べてなかったせいかすごくおいしく感じる。


『お、経験値が上がった』


__________


200EXP 獲得 レベルが「1」上がりました


__________


「おおっ、すげえ」


俺の視界の前にこの表示が現れる。

なんというか、ゲームっぽい。

魚を食って経験値を得たのだろう。


『レベルが上がったから俺のステータスに振るわ』

「わかった。じゃあ俺はで」


視界にある半透明な液晶に触れるようにして手を伸ばす。

そのままスライドをさせ「魔力」と書かれた文字に触れる。


__________


魔力が「11」になりました

標準魔法「魔力のつぶて」が使えるようになりました


__________


標準魔法とは、あらかじめそのステータスにある魔法。

俺のステータスは魔術師で、その標準装備は「魔力のつぶて」ってこと。

標準魔法とは書いてあるが、魔術師や信仰者しか魔法は最初から持っていない。


「俺は魔力のつぶてが使えるようになったけど、そっちはどうだ?」

『俺は筋力が11になったから、短剣くらいだったら使えるぜ』

「じゃあ、明日にでも装備買いに行くか?」

『明日までカネかせ……そうだな。そうしよう』


金なんてに行けばきっと余るほど稼げる。

まずはそのギルドに行くために次の町に進まないとな。


「魔力のつぶて!」


俺は近くの木に向かって魔法を放ってみる。


すると、手には小石くらいの大きさの薄黄緑の塊が発生し、それは気にぶつかると転がって消えた。


『まあまあだな、戦いに使えるかもしれないな』

「だな、とりあえず今日は寝るか」

『賛成』


そうして俺たちは火を囲うようにして眠りについた。


はずだった……


● 〇 ● 〇 ● 〇


『ねえ!ねえ!俺らのカネが!』


「……ん、朝からぅるせぇぞ」


俺はツルギに肩を揺さぶられる。


『だからねえんだって!俺らが昨日頑張って働いたカネが』

「…………は!?」


ツルギがようやく気付いたかとばかりに頭を抱える。

金が盗まれた?一体誰の仕業だよ、クソッ。


「待て、こういう時は落ち着いて痕跡を探せ」


足跡、指紋、よく見ればいくらでも手がかりはあるはずだ。


「あった、足跡がある!こっちだ」


早速足跡を見つける、無論ツルギを呼び、その足跡が示す方向へと歩いていく。

この大きさからして、おそらく女性ではないかと推測する。


『これは……血痕か?』

「ほんとだ。しかも足跡も増えてる」


5分ほど歩くと複数の足跡が入り乱れているのを発見し、さらに血痕まで発見する。

この数からするに3,4人分の足跡、つまり俺らの金を盗んだ犯人はここで何者かに複数で襲われたのではないかと推測する。


そう考えながら、血の滴る足跡のほうへ歩いていく。

また、何者かもこの血痕を辿っていったと考えられる。


「このはじまりの町ってこんな治安悪い町なのかよ」

『まあ、法律も警察もないんだから強盗とか起きるよなふつう』


そう話しながら痕跡を辿ること数分、山の中にある木造の小屋を発見する。

血痕はこの中に向かっている。その証拠にドアノブが血で赤くなっている。


「なあ、中に入ってみるか?」

『おい待て、せめて戦える準備くらいはしようぜ』


俺はいつでもつぶてが撃てるように、ツルギは近くにあった角材を手に取る。

互いの準備ができたことを確認すると、俺はドアを蹴破る。


「誰かいるか!」

『俺らのカネはどこにある!』


中に入ると、そこには頭を銃で撃ち抜かれている男3人。

ん?これは……死んでいる!?


『危ないっ!』


俺は条件反射で体を右横にそらす。

しかし、左脇腹に弾がかする。


「くっ……」

『何者かに狙われてる、物陰に隠れろ。にしても、この世界で

「ああ、そうみたいだな。おそらく、俺らの金を盗んだやつの仕業だろう。きっとこの銃で殺せば復活をするみたいな感じだろう」


物陰に隠れながら、そう分析する。

しかし、今度は足音が迫ってくる。


〈コツ、コツ、コツ〉


俺たちは必死に声と息を潜める。

少しずつ、少しずつ確実に近づいてくるその足音に、俺の心拍数は跳ね上がる。


【どこに行ったのよ?教会に折角。勿体ないことしたわ】


小屋の中1人の女が入ってくる。隠れていて見えないが、声からして女であることは確実だ。

教会?魂を捧げる?なに言ってんだこいつ。


置いてあったベットの下に隠れた俺たちは、バレないように、見つからないようにと息を潜める。


息は潜められているが、心臓の鼓動は大丈夫だろうか。


【仕方ないわね、お金は盗めたし、教会に戻りましょうかね】


足音が遠ざかっていく……


【なーんてね】


女はベットに向けて持っている銃、おそらくハンドガンを乱射し始めた。



















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高難易度の異世界でも極限まで自重せず強くなり続けたら魔王倒せます!~ゲーム少年は一切の妥協をせず、ただひたすらにレベルを上げていきます 希望D @darkmater001

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