その人二重人格にて

木宇治園

第1話 人生において必要なことは「無知」と「自信」

突然だがこんな世界があったらなと思う世界はあるだろうか

 例えば、人が生まれ持つ異能ですべてが決まるような世界で、その異能は様々で攻撃に特化しているものや防御に特化しているもの、知能や芸能などと多岐に渡る異能が成長とともに発現されるような世界。


その世界は中学を卒業する男子の妄想のような世界を。

もしそれが現実であったとされるのなら誰もが素晴らしい世界だと想像するだろう。

だがそんな世界を愛せない少年がいた。


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僕の名前は東雲海斗しののめ かいと

僕は小学生のときは理不尽にもいじめられていた。

 最初はみんな入学したては異能とか特になく楽しく学校生活を送れていた。

だけど、だんだんみんなは早く走れるような力だったり、動物と話せるような力のような異能がないとできない特別な力があるのが当たり前で個人差はあるものの体の成長と共に芽生えていった。


 異能をもつのが当たり前のような感覚で異能の似たよう者のグループや人間付き合いによるグループが気づいたときにはもう出来上がっていた。

だから自分にはみんなより特別な力がひょっとしたら明日には手に入りみんなの仲間入りを果たすかもしれないと勝手に希望を持っていた。


だって、お父さんは部分的にだけど、地面に亀裂が入るくらいすごく強い力を出せる力でお母さんはピンポイントだけど体の傷を治す力(自然治癒力)を上げる優しい力を持っていて、たくさんの人に頼られ信頼されで会社などでちょっとした有名人であったが為に、自分はなにか体を部分的に強くしたりする力とか想像していた。


 だけど現実はそうじゃなくて一向に力を授かりそうになかった。

だから僕はいじめられた。


             なんで?


「お前、まだ異能がつかえねーのかよ」だの「少しは使えるようになるために努力しろ」だのごちゃごちゃ言って結局は自分の力を試したいがために理由をつけて、僕をよってたかっていじめてきた。

 

その時はまだ自分の異能は父や母のように強いものであると勝手に希望を持っていて発現するように努力したが、結局力が使えるようになったのは学校のなかで最後でその力と来たらもの【引き寄せる力】だった。

自分の体の一部が触れているとその一部に向かって物体を引き寄せる異能。

 

実際に机の上に消しゴムを置き自分の手を置いて消しゴムを引き寄せる事ができるとみんなに自慢した。

この異能の説明を聞いたとき、みんなはなんにも役に立たない異能だと判断し僕の眼の前で大きな口を開けて笑ってた。


              どうして?


だから今までより一層にいじめがひどくなり、先生を頼ってもそのいじめは加速するだけで何も変わらなかったために、そのいじめを受ける可能性を低くするために勉強し、中学はなるべく自分を知っている人が少ない私立の学校に行ったが、そこでも異能を紹介する時間になると馬鹿にされ、いじめられ結果的に学校行事もすべて休み、だんだん欠席数も増え、もはや必然的と言えるのかもしれないが家にこもってしまった。

 

小学生のときにはあれほど仲良くどんなに辛いときでも励ましてくれるような両親からの口数がだんだん減っていき、とうとう話すことがなくなり心の拠り所がなくなった。 


             この力がダメなの?


そんな自分に追い打ちをかけるがごとく親が今まで心の奥で思っていたことを直接伝えてくるようになり

「私があんたみたいなときはね」だの「俺は失望した、なぜお前が、、、、」だの言ってきたが部屋に閉じこもり、自分の心を閉ざしているのを示唆しているかのように自分の異能を使い親が異能を使ってこじ開けようとするのを阻止してを繰り返していった。

 

いつの日からか気づいたら親が扉をこじ開けようとするのは諦めたと判断してもいいと思えるほど、開ける頻度は少なくなった。


           こんな力ならない方がいい               


代わりに部屋の前に決まった時間になるとご飯が出てくるようになった。今まではリビングに食べにいていたのに

 朝昼晩に機械的にご飯を食べていても食べていなくてもお皿は決まった時間には出てきて、時間になると消えていた。

ご飯が出てくるようになってもう2年が過ぎ世間一般には中学3年生と人生の大きな分岐点となる時期が来ていた

 

インターネットが心の拠り所の僕はそんなのどうでもいいと考えていたが、掲示板に自分がいじめられていて引きこもってもう気づいたら中3になって人生詰んだwwwとか書き込んでいたところ、匿名の人が僕とレスバを仕掛けてきて論破されたから成り行きでその人の言う通り外に出ることにした。

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僕は親のことを考えて夜の時間にでて2年ぶりの外に出た。

 あの頃と少しも変わっていないこの町を歩いていた。道中は、あの道が新しくなっているだの、このお店が潰れているだのと考えていた。

しかし、ふとした時人が倒れているのが見えた。知らない背は170cmくらいでいつも来ているのか少しくたびれている服を着た男に違和感を覚えた。

 

なにか行動を起こすために一言声をかけようとした途端、後ろに男よりもでかいやつが俺の頭を鷲掴みされたと思った瞬間に頭をえぐるような感覚があり、気づいたら膝を地面につかされていた。その時見えた男の顔はなにか上から強い圧力で潰されたような跡があり眼帯をつけていて目には憎悪の意思が宿っているようだった。


      その後のことは記憶に残っていない


でも気づいたら朝になっていて、自分のベットの上で転がっていた。

 周囲を見回してみると見知らぬ紙が1枚置いてあった。その紙にぎっしりとしたタイムスケジュールが記載されていた。


例えば朝9時にランニングとか昼2時に瞑想などの自分には無縁としか思えなかった動作が書かれていて誰がこんなんするかよ、めんどくせーなと思っていたが、なぜか次の日にはと考え従うことにした。



驚くべきことに波はあるものの起きたら枕元にメモが残してあることが多くなった。

 そのメモに書いてあるのはタイムスケジュールの変更、ちょっとした頭に残っているもやもやする悩みを解決するような答えが書いてあり、どれも己を鍛えるようなものだったので日に日に自分の身体に自身がついてきた。

 


メモに「お前は誰だ」と書いて寝たら帰ってきた答えが「ん」しか返答が来ずいくらか質問を投げかけても空回りな答えしか帰ってこないから詮索を諦めた。

 

ある日のこといつも通りにメモが置いてあり今まで異能の強化するようなトレーニングはなかったのにこの日から追加されるようになった。


1週間毎の目標を定められ、最初は「机を触れた状態で消しゴムを30cm自身に近づける」からだんだんむずかしくなっていき気づいたときには「10cm机が離れている机をまたいで消しゴムを自身に近づける」になっていて自分の異能をそれなりに理解できるようになった。


今まではない方がいいと思っていた自分の異能が少し練習し、できることが増えたときの達成感でいっぱいになったときの感覚が忘れることができなくて必死にトレーニングに打ち込めるようになっていった。

 

ある日朝は人の足音が聞こえたりする反面、夜は静かな家なのにちょうど足音がうるさくなってきた。普段は特に聞こえることはないのに。

家が家じゃないくらいにピリピリしている。

 

自室は2階だから静かに廊下に出て階段から見下ろすと

「うるさいから少し黙ってくれ異能で索敵してるから」と声が聞こえてきた


どうやら遠目から見て家の中に二人のスーツ姿の人が土足で入ってきて廊下でキョロキョロしている。一人は金髪で何かを握っていて、もう片方は銀髪で耳を澄ましていて何かを探しているようだった。


 相手は何を目的としてこの家に探っているのかがわからないが有名人の親なら何かしらの恨みがあるだろうと思い、少し様子を伺っていた。

一般から見て少し裕福な僕の家は少し古い家だが大きなものだった。

 

たまに金目のものを奪おうとして来るのだがその時はお父さんが泥棒をボッコボコにしているのだが、今日は両親が家にいない日だから狙っているものが両親ではないと気づいて移動しようとしたときに、耳を澄ましていた方と目があってしまった。


すぐさま男の奥にあった花瓶を引き寄せ、ぶつけてそれk、、、

「おい、いたぞ」


この声が聞こえたときにはまだもう片方に集中できていなかったせいで気づかず後ろから蹴られ倒れてしまった。

前を見たとき花瓶がきれいに斬られていてしかも床の凹んでいることを視界に入れたときゾッとした。


本能的に身体能力にものを言わせ段ボールを斬ってから自分の背後に飛んで近づいてみせた事を察せた。腰に足を置かれ踏み台にされ、脱出しようと相手に話しかけて抜け出そうと 

「お前らは何が目的でこっちに来た、ここには両親はいねぇよ!」

 

と久しぶりに大きな声を出して踏んでいるやるに問いかけてみると

「あぁ?目的はお前だが?」

 

 金髪の男が握っているものから赤い20cmくらいの刃が出てきて、生まれて始めて命の危険を感じ取り、この瞬間この男から抵抗しようとするが足を思いっきり踏みつけられ、もう片方の銀髪の男に追撃の頭に思いっきり蹴られ意識が飛んだ

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「ガロールが頭を蹴ったせいでガキが伸びちまったじゃねぇか!!」

「いや、子供相手に刺して殺すして本部に持っていくのが任務ではなくてのは状態は問わないって言われているから、意識ない状態でさらって身代金をボスに請求させたほうがボスの利益になるほうがいいだろうが」


ったくいつも気まぐれなこいつがなんで俺とペアになってんだよ。

いつも通りボスに任務成功の電話をしようとしたとき、なぜかガロールがなにかに気づき、携帯していたナイフでガキを刺そうと振りかざした瞬間片方のガキを踏んでいた足が


びっくりして足元に目線を向けて前を見てガロールを見ようとすると、さっき踏みつけていたガキが手を突き出しガロールを床に全身をめり込ませていた。ガキの目を見ると黒い目をしているのが今だけは赤くきれいに光ってやがる。


「おい、なんのマネだ。なにをした、お前はただのいいとこのダメダメなガキじゃねぇのかよ。」

「んぁ、いやその認識で間違いない。ただ今ここに立っている俺は違う僕だ」

「ガローフ逃げ、、、、」

「黙れよ、人が喋ってんだから」


この言葉を堺にガロールの意識が飛んで失神していた。

 この異常事態にあいつの言葉を信じて、とりあえず逃げる素振りを見せて勝てそうなら殺すかと考え俺はとにかく行動した。


まずあいつの異能が変わったことが一番信じられないが手をかざしてガロールを床にめり込ませているから重力操作と見てもいいだろう、、、、っとあぶな、あいつから出る何かやばいものが飛んできたことを感覚でつかめるんだが、それはあたってはいけないと本能が警告する。

 

ここで戦ってもいいが自分の異能が握っているものに刃を20cm出現させる能力で相手はやばいものを飛ばしてくるからここは自分にとって不利であるから廊下から部屋に入り大きな窓を壊して外に出た。


外に出た瞬間に足が重くさっきガキに近づいて倒したみたいに動けやしない、どーなってやがる。

ご丁寧なことにあいつは玄関から回ってこっちに来やがった。しかもめっちゃ笑っている、この状況を作り出したのはあいつだと思ってしまった。いや思わざるをえなかった。


「どうしたのそんなに緊張して、俺はお客さんをもてなそうとしているのに」

「どうしたもねぇよ、ガロールに何やったんだよ」

「あぁ、少しもてなしが良すぎたのか気持ち良すぎて失神しているよ、いやー我ながらいいもてなしができたよ」


こいつ狂ってやがる、、、、世界でいろんな猛者に挑んで勝ってきたけどここまでかな、、


「あと君たちが相手してたのは触れている体の一部に向かってものを引き寄せる異能を持った少年だったが今の目の前にいる俺は全く違う異能を持っているだが、まぁ話す義理はないか」


あいつが勝ちが確定していて逃がしてくれる雰囲気になったら全力で最高の技をかけないと全滅してしまう、、、、、


「お前の能力は見た感じ握っているものに限定して刃を出すから俺の脅威じゃない

だからなぜここを襲撃したのかおしえてよ」

 俺はこいつが両手を広げて子供に接するようなポーズをしていることから自分への侮辱を許すまいと激昂させ、全力で命を削るほどの力で地面の土を握って2倍ほどの刃をを発現させそれをあいつに投げた。


 この技は土のようなものからでも刃を発現させ投げることで投げナイフよりも高い殺傷能力を持ちお手軽に使える技だが、自分への負担がすごいから1日に一回のみという制限がある。


それなのに投げた瞬間、俺の立っている地面にそれらが突き刺さった。

「は?」

思わず声にしてしまった。


「危ないよ?そんなもの投げたら?でも大体想像できていたから俺の異能でメタれるのはわかっているからあえてを隙を見せていたのにお前馬鹿だな

そんなお前に最後の土産として教えてやるよ。俺の異能は引き寄せる見えないものをどこでも生成して自分の好き勝手に引き寄せる力の大きさを変える能力だ」


この瞬間から視界が一瞬で低くなり俺の視界が暗くなって意識がなくなった。


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あのあと、意識がもどって見た最初の光景は家に入ってきた金髪の男が失神していて鼻血を出して地面に倒れていた。


 そっからは僕は近所の人に頼み警察に通報し二人の身柄を確保し即、異能を使った形跡があるため僕は少しの事情聴取になったが男たちを倒したのは意識がなくなってからなので警察の方もなぜこんな状態になったのかわからずじまいだったが、体の大事を取って入院することになった


両親は泣いて抱きついて今までの発現を謝罪した。いじめを受けたことのないがゆえにどれほど辛いのかがわからなく、嫌がらせ程度になにを泣いとるんじゃ!と思ってあんな言葉をかけた、と説明してくれた。

 僕は謝罪を受け入れ小学生のような距離感までには回復した。


あれからここ三ヶ月間はメモが枕元においてあるようなことはなくなった。

 その代わり高校に進学するために塾に通い学力を高め、高校に進学することができた。

ほんとは異能の力が高ければ県内有数の学校に入れるくらいの学力はあるのに、異能の力が微妙すぎてどんな進学校にも受からないと言われ続けていたが、それでもその学校に受かりたい精神で勉強した結果、歴代最高得点を叩き出し志望校に受かることができた。


その学校は他の学校と比べて比較的にいじめが少なく、いじめがあれば教員が異能を使ってでも粛清するほどいじめを嫌っていた学校だから僕はそこに


だが2つの風の噂によると学校内に先生として紛れている異能審査員がいて、その人に目をつけられ実力があればこの国一番の学校に転校できるとかできないとか。

 また、親のコネを使って異能の力が高いからこの学校に入学でき、審査員はその人を転校させる為に目を光らせているとか。


まぁ僕には関係ないよねと明日ある入学式に少し胸を高鳴らせ床につくことにした。


「明日から自分が知らない世界が見れるのかな。。。」


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その人二重人格にて 木宇治園 @nanasi1234

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