第79話 エピローグ それからの事
ここからは、あらすじ後も含まれます。
―――――
私は、あの後も悠斗にねだって更に二回もして貰った。初めてなのに私って好きだったのかな。
お陰で用意していたクリスマスランチが午後四時になってしまったけど。そして次の日から私の家のリビングで冬休みの宿題をした。
大晦日まで六日。悠斗は朝九時に来て午後六時までお昼休み一時間と午後三時の三十分の休憩を除いて二人で一生懸命やった。
でも三日目の土曜日は午前中、彼は稽古に行ってその後、家でシャワーを浴びてから来る。
この時は午後三時まで私が頼んでうふふっ、した。もう二人の間でする事に抵抗はない。 そしてまた冬休みの宿題に取り組んだ。お陰で大晦日の午前中には終わった。
「悠斗、午後からどうしようか?」
「俺、部屋の掃除しないといけない」
「じゃあ、私も手伝うよ」
「流石にそれは遠慮する」
「えっ、何か見られて不味いものあるの?」
「うん、一杯あるから」
「あははっ、悠斗は正直ね。ねえ、正月だけど近くの神社に行かない」
「いいよ。午後からでいいか」
「うん。来る時連絡して」
俺は、沙耶の家でご飯を食べると終わらせた宿題を持って家に帰った。
クリスマスの時、俺は沙耶と別れるつもりだった。桂さんと矢田さんの事を正直に話せば呆れて振られるだろうと思っていたからだ。
でも結果は逆。あれを逆手に取られて思い切り積極に出て来た。そこまで俺の事を思ってくれるならと改めて沙耶と恋人になる決意をして彼女とした。
不思議なもので、関係を持つと彼女のお喋りが消えた。いつまで持つか知らないけど今のままで居て欲しい。
家の最寄り駅について改札を出ると買い物袋を持った優子と会った。
「あっ、悠斗」
「優子か」
「悠斗、その顔だと塚野さんって所」
「優子に嘘は付けないな。ああ、そうしようと思っている」
「そう、ならいいわ。改めて悠斗と付き合う事にしよっと」
「えっ?!どういう事?」
「ふふっ、桂さん、矢田さんが冬休みで会えない事をいい事に、彼女終業式の日から悠斗に積極的アプローチして関係を持ったんでしょ。でも悠斗は心までは彼女に向いていない」
「流石だな」
「だから、私改めて悠斗に申し込むわ。私の彼になって」
「えっ、でも陽子ちゃんは?」
「あの子は、まだ可愛い子供よ。何も出来ないわ」
「でも、俺沙耶と付き合うぞ」
「ふふっ、私にとっては彼女が、やっと同じスタートラインに立ってくれた程度にしか見えないわ。悠斗と一緒に居れるのは私だけよ」
「お姉ちゃん、遅いから迎えに来た。あっ、悠斗さん。こんにちわ」
「悠斗、また来年ね。じゃあね。陽子行くわよ」
「えっ、ちょっ、ちょっと。お姉ちゃん。あっ、悠斗さんまた来年」
「うん、また来年」
双子の様にそっくりな姉妹、優子と陽子ちゃん。何となく決着が着いた様な気がする。
はてさて、どうしたものか。優子の言っている事は正しいんだろうな。沙耶とこれからも一緒に居れるのは色々な意味で障害がある。あの子がそれを乗り越えられるとは思えない。
でも今は、彼女に対しての責任を果たすしかない。
………………………………………………。
話の流れが速くなります。
三学期になって、いよいよ大学受験を意識しないといけなくなった。行く所は当然都内の国立大学。俺は文系を狙っている。沙耶も同じにすると言っていた。俺は学業を理由に図書委員の件は正式に断った。
三年生になり取敢えず、新学期から塾に行く事にした。ただ沙耶は図書員を辞めないと塾通いは出来ないので榊原先生と交渉したが、直ぐには辞めさせて貰えなかった
図書委員を辞めさせてくれないなら教育委員会に訴えると迄強行に学校側に申し立てたけど、
学校側で一年生と二年生の各クラスから図書委員を強制的に選出するからそれまで一学期の間だけ習熟も含め待ってくれと言う事で承諾した。
勝手に辞めればいいなんて言うのは世間知らずの言葉。仕方ない所だ。
塾は学校の駅の近く、いつもの改札と反対側にある可愛塾だ。コースは国立難関コース。当然と言えば当然だけど優子、矢田さん、遠藤さん、桂さんも一緒だ。沙耶だけいない。入塾テストは全員問題なく通った。
授業が終わるともう図書室に行かなくなった俺を沙耶がとても心配して、土曜日午後からあれをしてデートすると言う事で安心して貰う事にした。
塾の帰り、嫌でも毎日優子とは駅まで一緒になる。下手な事は言わない子だけど、偶に
「日曜日、ちょっとだけ会う?勿論塾の勉強のレビューよ」
なんて言って来る。見え透いている。流石にそれは乗らない。GWは塾通いと沙耶とのデートを優先した。
でも…。桂さんと矢田さんとも会う事になった。理由はまあ色々有るけど。優子はそれを知ってか知らずしてか、俺のメンタルを真綿で首を絞める様にじわじわと削って来る。
やっぱり一番合っているのは優子かも知れない。
一学期の中間考査は順当に俺、桂さん、優子、遠藤さん、矢田さん、沙耶だ。これは仕方ない。本人は悔しがっていたけど。
でも一学期末考査は、何と俺、優子、桂さん、矢田さん、遠藤さん、沙耶だった。沙耶以上に悔しがったのは桂さんだった。彼女のあんな顔は初めて見た。
夏休み前に沙耶は図書委員を辞める事が出来た。沙耶も同じ可愛塾の夏休みコースと夏期特訓コースに入る事になったんだけど…。
ついて行くのが厳しいらしく、愚痴を言っては、俺に聞いて来て俺の勉強を邪魔していた。
当然、夏休みのお遊びは一切なし。勉強に集中させたけど、本人が厳しいと言っていた。
二学期の最初の模試判定は、俺、優子、桂さんが志望校A判定、矢田さんと遠藤さんがB判定。沙耶にいたってはC判定だった。
流石に本人も焦って勉強に必死になったけど、志望校決定の二学期最後の模試でもやっとB判定。矢田さん、遠藤さんも変らずB判定だ。
一応全員、公立大学も受験対象に入れた。沙耶は私学も入れるらしい。そして三学期、沙耶は先行した私学の受験を無事にパス。
俺は気が緩まないようにと言ったのだけど、結局、帝都大に合格したのは優子と桂さん、公立大学は矢田さん、遠藤さん。沙耶は私学だけとなった。
大学に入っても沙耶とは会っていたが、段々彼女から連絡が無くなり、一年の終りには別れる事になった。
それを知った優子と桂さんだけど、何と矢田さんと遠藤さんが一年遅れで入って来た。恐れ入ったとしか言いようがない。
一年次と二年次は教育学部で授業を受けるので、全く同じという訳ではないがまた四人一緒に食事をする事が多くなった。
だけど、会う時間は圧倒的に優子と桂さん。履修予定が一緒だから仕方ない。
三年からは法学の道に進んだ。桂さんも同じつもりだったらしく喜んでいた。優子も一緒。
俺達が三年次の時、矢田さん、遠藤さんはまだ教育学部なので、会う事はほとんどなくなっている。
その代り優子と桂さんと個別に会う事が多くなった。この事は二人共了解している。
そして俺と優子は法科大学院に進んだけど、桂さんは法律の知識は必要だが法曹になる必要は無いのでそのまま卒業した。親の会社を継がなければいけないからだ。
桂さんはその後、親を通したり、何故か弁護士を通したりして、俺との結婚を強く望んだが、俺がまだ大学院生で有る事を理由に固辞した。
まあ、結果的に法科大学院に残った優子と俺がその後一緒になった訳で…。
優子が八ヶ月になったお腹を擦りながら
「寄り道長かったね。悠斗がいけないんだよ。赤ちゃんは三人がいいよね」
「あははっ、そうだな。でも、俺だけが悪いのか?」
「誰か他に悪い人いたっけ?桂さんでしょ、矢田さんでしょ、塚野さんでしょ。遠藤さんだって。知らないけど」
「いやいや、優子の事は?」
「平行宇宙のどこかで誰かが何かしたんじゃないの?パリティの破れだって有るし」
何故か知識だけ得ている様な。
ちなみに梨花と陽子ちゃんは大学でお互いに素敵なパートナーを見つけたようだ。良かった。
おわり。
―――――
最後まで読んで頂いた読者皆様、大変ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。あらすじ後まで書きましたが結局優子でしたね。別れも有れば出会いもある。でも再会も有ると言う事で。
やっぱり、パートナーの心を良く考え、思いやる事が長く良い関係を続ける秘訣ですね。
面白かったとかいやそうじゃないだろうとか、まあこんなものかと思われた方、ぜひご評価頂けると新作の投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
新作投稿しました。
「俺を裏切らない彼女が欲しい」
https://kakuyomu.jp/works/16818093080861478269
お読み頂けれ嬉しいです。
彼女を寝取られた俺は新しい彼女と楽しく過ごしたい @kana_01
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます