第108話 最終話
ペリア達の中で手に職を持ったものは自分らで動いている。布を作れる者やそれを染める技術を持った者、商人をしていたものなど様々だが、ノーマに任せてある。
ブルゾは警ら隊に入ったようだし、ペリア達は冒険者になった。
「計41名はそんなところでございます」
「…分かった、必要なものがあれば与えてやってくれ」
「分かりました」
これで商人がエン達以外にも増えたし、布を作れるとなれば蚕や魔物からの素材が必要だろう。そこも調達するのに商人が多くなるのはいいことだな。
「だいぶ人が集まりましたね」
「そうだな、ノーマにはまだまだ頼りっぱなしだな」
「いえ、私の天命ですので」
「そうか、頑張ってくれ」
「はい!」
夜の街を眺めると家ができ、光が溢れ、皆が楽しく暮らせているのか…はわからないが人並みに生活はできているだろう。
「ねぇ、ケントは奴隷の街を作るの?」
「…さぁ?奴隷なんてものはいらないと思ってるからな」
「そう、じゃあ奴隷ではなく、みんなが暮らせる国か」
「…そうだな」
フェンリルが守り神で、奴隷達が楽しく働け人々と分け隔てなく暮らせる国がセイクリッドだ。
女神と奴隷の神を祀っているこの国ならではだな。
それから数ヶ月後、
「貴方、大丈夫ですから」
「…あ、あぁ、あまり無理するなよ?」
「動いた方がいいんですよ」
待望の第一子がルビーとの間にできた。
「次は私ですね!」
「そ、そうだな」
(リシェルはやる気だが体が持つかな)
「やはは!めでたいですなぁ!」
「そうじゃのう!これでこの国は安泰じゃて」
ガンツやキン爺も祝福している。
「そろそろ第三王妃が欲しくないですか?」
とパールも迫ってくるし、マリンやアンバーなんかも隙あらば寄ってくる。
「王よ、女王が来ましたぞ」
「あぁ、通してくれ」
魔王国の女王を呼べるようになったのもつい最近だ。
「久しぶりだのぉ」
「そうでもないだろ?」
「この国は良いのぉ、合併せぬか?」
「…まだそんなこと言ってるのか?俺はこの国だけで精一杯だぞ?」
「そうか、まぁ、気が変わることもあるじゃろ」
女王は引退して魔王国と合併したいらしい。
日本人組は相変わらずだな。
セイランは服を作るのに夢中だがブルゾといい感じらしいし、カオルもダウンといい感じらしい。ダウンなんかは花を持って行ってるらしく顔に似合わないと笑われている。
イサムはミイとスィとパーティーを組んでることもあっていい雰囲気らしいがどっちとだ?どっちもか?
あとは醤油を再現してもらいその作り方を他の人に教えてもらった。そのおかげで醤油、味噌は作れる人が増え、調味料が大きく変わった。クオンのとこも大繁盛だ。
そのクオンはエンといい感じになっているらしいがあまり会えないとエンが嘆いていた。
まぁ商人を辞めないと無理だろうな。
ガンツと親方が頑張って作り上げた港町には船が沢山並んでいる。海洋国家からの奴隷には多くの船乗りがいたのだ。これで魚が食べ放題だ。
(だが、王様にと持ってくる魚が多すぎるので街で配っているのはどうかと思う)
オン爺の野菜は美味くて味が濃い気がする。やはり死の大地から蘇らせた大地は魔力もふんだんに含んでいると言われたが枯渇しないだろうな?まぁ、その時はまた魔法を使えばいいだろう。
他の国の動きは人国、魔王国、海洋国家、機械国家とは友好関係を結んでいる。聖教国はまぁ、まだ知られていないだろうな。
ドワルゴン帝国はあれから一切音沙汰がない。まぁ自国を立て直すのに時間はかかるだろうな。
まぁ、そんなこんなで俺たちは楽しく暮らしている。
「オギャー」
「う、生まれたか!」
「あひゃひゃ!かわいい男の子だよ」
「やったな!ルビー!がんばったな!」
「うん!名前は?」
「考えてた、こちらの名前にする!キングだ」
「キングね、いいじゃない」
「だろ?」
(まぁ、王って意味だからな)
こうしてセイクリッドに新たな命が誕生した。
キングはスクスクと育っている。
リシェルにも子供ができた。
ルビーはキングにくびったけで甘々だ。
「キングちゅわーん、キン爺ですよー」
「だぁー」
「あはは、キン爺は好きよねー」
「孫みたいなもんじゃて」
キン爺、アシュレイ、ダウンなど男どもはメロメロだ。
ネアノアはお姉さん気取りで寄っていく。
「キングちゃん!」
「きんぐー」
まぁ、幸せなのはいいことだな。
ようやくスローライフができるようになったな。まぁ、誰が来ても何が来ても俺が守り抜くつもりだし、そのために強くもなったしな。
ここは奴隷の国、聖なる地セイクリッド。
女神よ、連れて来てくれてありがとう。
俺はここでスローライフを送るよ。
おっさん探訪記 あに @sanzo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます