夢、問と答えと否定
雨音²(あまおとあまね)
夢
問。ここはどこか。
答。部屋。
否。【始まりの場所】
「どうしよう」
口をついてでたのはこれだ。深い意味はない。困ってるわけでもない。右手のひらをみながら思案する。
「まぁ、」
夢なら覚めるだろうと独りごちた。ごちるの使い方に補足する必要はないだろう。各自辞書でも引いてくれ。
問。なぜこの状況について深く考えるか。
答。しばらく【夢】はみていないから。
否。【始まりの場所】
ここにとどまっていてもしょうがない。目の前の【赤い扉】のドアノブに手をかけた。
覚醒。覚醒。覚醒。ふむ。あれは【夢】か。どうやら僕は机につっぷしてたらしい。左手に握り混んでいたシャープペンシルを筆箱のなかに片す。
「ゆきちゃ」
こてん。そんな擬音が似合いそうな感じでのぞきこんできたのは幼なじみの反町海(ソラマチウミ)あぁなんてかわいいのだろう窮屈で苦痛な日々の癒しである。
「海ちゃん」
「【夢】みてたの?」
「…………」
どちらの意味かは図りかねるが、
「うん。みたよ」
正直に答える。
「くすくすくすくすくすくすくすくすっっみたんだ?【夢】みたんだ??」
海ちゃんは答えに満足したのか普段のかわいい雰囲気を変えて艶やかに笑いだす。そのまま僕はベッドに放られて首を絞められる。どこにそんな力があるかはわからないが。
「【問。それははじまりであるか】」
海ちゃんは僕に問いかける。
「【答。はじまりである】」
僕は答えて、
「【否。歪んでしまった出発点】」
訂正される。…………訂正されるように答えるのが常だ。"訂正ができない正論は答えてはいけない"これは一つのルール。たくさんのちりばめられた言葉の中から汲み取って正解を見極めていかなきゃならないとても難しい問題。
夢、問と答えと否定 雨音²(あまおとあまね) @ss_amaoto
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