第一回さいかわ卯月賞 優秀賞について
第一回さいかわ卯月賞にご参加いただき、誠にありがとうございました。
主題、開催時の宣言通り、「犀川の独断と偏見と気まぐれ」の結果、下記を優秀賞とさせていただきます。
佐砂井の郷/佐藤宇佳子
https://kakuyomu.jp/works/16818093074845633845
画鋲/鳥尾巻
https://kakuyomu.jp/works/16818093074890155871
(参加順・敬称略)
総評
一賞につき一作を考えておりましたが、今回予想以上の参加数であったこと、作品のレベルが高く接戦が多かったことをなどを踏まえまして、二作とさせていただきました。
優秀賞を贈らせていただく理由は文字通り「優秀」であったからです。二作とも「クラスにいる優秀なお姉さん的存在」という感じの作品でした。作品に一定のレベルがあり、面白さがあり、お姉さんポジションらしい「卒のなさ」がありました。突き抜けたインパクトがあるわけではなく、あくまでも本道で書ききっているところが非常に好印象でした。「佐砂井の郷」は終盤まで「あなた」をうまく導いてましたし、「画鋲」は静謐な中にリアリティーや説得力がありました。アマチュア小説の良きお手本になっていると思います。
多くの作家が範にすべき良作だと思います。
お二人とも、今回の企画にご参加いただき、誠にありがとうございました。
個別評
「佐砂井の郷」 佐藤宇佳子さん
二人称というとても難しい書き方で話を進めていく作品でした。読者は「あなた」という語りかけを通じて
最終的にはホラーというよりは儚い恋愛ドラマにも感じた本作ですが、上手く夢のような現実のような世界を描いて読者を楽しませてくれました。
ありがとうございました。
「画鋲」 鳥尾巻さん
画鋲というありふれた物を用いながら、話を上手く展開されています。幼少期の僕と大人の僕を上手く続けてラストまで持っていき、生死をあいまいにしたホラー感を醸し出してフィニッシュしているところは、本当に「優秀」な作品だと思いました。画鋲というなんでもないアイテムをここまで上手く、かつくどくなく使っているのが特に素晴らしいです。
序盤の文章がまた秀逸で、わたしをどっぷりと沼に嵌めていってくれました。惜しむらくは僕の登場と説明をするのがちょっと遅いかなと思うくらいで、世界観を構築する上手さは佐藤さん同様、手堅い優秀さを感じます。
本作、ホラーにはなっているのですが、流暢で丁寧な語り口が私小説のような雰囲気を醸し出していて、わたしはそこも好きでした。怖さというファクターのないホラーというジャンルも面白い世界だとわたしに教えてくれる、優秀な作品であると思います。
ありがとうございました。
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