空っぽの私は春を売り、輝く世界で夢を買う

 夢と希望を求めて、その身を捧げる女性たち。その心理につけ込んで、夢見として輝ける夜の世界、マネーアンダーグラウンド。行き先のない心の空白を埋めるように癒してもらおうと、求める先に横たわる狂い始める金銭感覚が恐ろしい。
 この小説で特筆するなら、誰にでも起こりうる心理描写を愚の至りを超えたリアリティで描かれていることだ。超然たる狂騒。春を売り、果ては眠らない街で夢を買う。その冷めやらぬ恍惚に、その身のすべてを染め上げるように、底なしで不確実な未来のことも忘れて、あなただけと過ごしてしたい。
 あぁ、この時間が永遠に続けばいいのに。