第12話 師走
年の瀬も押し迫った頃、前触れもなくばあちゃんの夢を見た。多分、ばあちゃんの死んだ時期が近づいてきたからだと思う。
物心ついたときには、うちの家はばあちゃんとの二人暮らしだった。それ以外の家族には会うどころか話すら聞いたこともなかったし、ただばあちゃんは男物の着物を季節の変わり目には虫干ししてて、何年か前に多分それはじいちゃんのものなんだろうと気づいたけど、それらしい人の写真とかは家の中にはどこにもなかった。知っている限りばあちゃんは天涯孤独の身の上で、僅かな親戚もみんな遠くに住んでいて疎遠だったから、家族というものの縁の薄い人だった。
ばあちゃんは不思議な人で、ふもとの集落から奥に入った山裾の一軒家をずっと守って住んでいた。親戚はみんな遠くにいるから昔からここに住んでいたというわけでもなさそうだけど、いくら田舎とは言え隣の家まで歩いて十分くらいかかるのはこの辺りではうちの家くらいで、そのせいかちょっとだけ浮世離れしたところのある人だった。
別に集落の人と関わりがなかったわけではなくて、山で採ってきた山菜やキノコやタケノコを農協や産直市場に持っていったり、ちょっとした繕い物や編み物を頼まれたりすることもあったし、町内会や子ども会の行事には頓着なく参加する方だったけど、街に出たりふもとに行ったりする時間よりも山に入ったり沢に下りて何か晩のおかずの材料を調達している時間の方がずっと長かったと思う。うちの食卓に並ぶしいたけやなめたけはスーパーで並んでいるのと同じ種類とはとても思えない形や大きさをしていたし、しょっちゅう食べてるサワガニやモロコとかは学校で話をしたら食べられるものだと思ってない奴の方が多かったくらいだった。とは言えもちろん全部自給自足ってわけではなくて、ばあちゃんの年金が出る日にはちょっと街の方で外食したこととかもあったけど。
うちの家の庭先は、そのまま裏山の斜面に繋がっていて、山から這い下りてきた植物がわらわらと繁っている。ヤマイモの蔓にはおいしいムカゴがつくし、シャガの花はそのまま切って床に活けたら様になるような感じだったけど、大半は自然のままの勢いでうちの敷地まで山に取り込もうとするような野生の獰猛な草木だったから、ばあちゃんは日夜防衛に追われていた。生えてくるのを切ったり抜いたり、落ち葉を掃いたり枯れ枝を拾ったり、山と里との境界線を引くのは易しいことではないんだなと見ていたらいつもそんなことを思った。特に萩や藤みたいな蔓の植物は厄介で、物干し台にいつの間にか絡んでいたり庭のサツキを取り込んで枯らしそうになっていたりした。それからハゼや山漆なんかはうっかり触るとかぶれるから、家に子どものいるばあちゃんは気を遣ったと思う。
それでもさすがにそれだけ山のものが下りてくると恩恵はあるもので、年末になるといつもばあちゃんと二人でつんでいたのが正月のお飾りに使うウラジロだった。何でも、他のお飾りの材料みたいに栽培ができないらしくて、未だに山から採ってくるくらいしか方法のないウラジロは根こそぎつんで束ねて箱に入れてふもとに売りに行くとちょっとした臨時収入になるのだ。ばあちゃんはいつもそれで正月準備の葉牡丹やブリを買って、年越しの準備を進めていた。
「おいでおいで、頭撫でてやろ」
羊歯売りの手伝いをしていたら、いつも途中でばあちゃんに呼ばれた。近づくとばあちゃんはウラジロの葉で頭を撫でてくれた。
何のおまじないだろう、と首を傾げると、ばあちゃんは笑ってこんな風に言うのだ。
「おまえがいずれ何にでもなれるようにね」
――まだ別に、将来のこととかを考えるのは先のことだと思っていたのだけど、よく考えたらばあちゃんは結構な年だったから、孫の未来を案じるのは不思議なことでもなかったろう。ばあちゃんのそんな心根に気づいたのは実はかなり近のことで、長生きしてもらわないとなあと思ったのが去年の暮れのことだった。成人までは見届けて欲しいと思ってたけど、結局ばあちゃんと一緒に暮らせたのはその半分までの期間だった。
自分にとってはそれまで、ばあちゃんと暮らした期間が全てだった。それから一年過ぎたので、ばあちゃんのいない期間がもう十年の中の一割近くを占めることになる。うっかりそんなことを計算してしまったときはさすがに寂しかったけど、二十歳の頃にはばあちゃんと暮らした期間が大体五割で、百歳になったときでも人生の一割をばあちゃんとの暮らしが占めているのだから、絶対にゼロにはならない。
人里離れて暮らしていたばあちゃんがみんなに忘れられたら可哀想だと思っていたけど、こんな風に考えてみればばあちゃんの存在は消えないのだから、いくらか救われたような気がした。
そんなことを夢うつつに考えながら、隙間風の音に布団の中で身を屈めて、気づけばカラスがどこか遠くで鳴いていた。
目が覚めたときには、すっかり外は冬の朝だった。
いつの間にか庭木の葉がすっかり落ちて、うろや大枝の股で髭のように蔓延ったノキシノブが冴え冴えと映える季節になった。日の出が遅くてまだ辺りは仄暗い。
夢の続きのように、ふとあの日のことを思う。ばあちゃんが急に死んだのは年明け早々の時期だった。地区清掃の最中の事故で、学校に連絡が入って病院に行ったときにはもう間に合わなかったから、本当に呆気なかった。それからもうじき一年になるけれど、その間に季節が一回りして、空気の冷たさはあの頃とほとんど同じだ。
去年と違うところといえば、今年は喪中なので正月を祝えないというところだろうか。去年は今頃の時期にばあちゃんと年越しの準備をあれこれしたはずなんだけど、この一年が案外慌しかったせいか、詳しい記憶はもう朧気だった。来年の今頃には、正月支度のやり方をちゃんと覚えてるだろうか、とか思いながら、いつもより少し早いけれど布団から這い出した。正直、この時期に布団から出るのは思い切りが必要だ。
ともあれ玄関先を掃こうと外に出ると、庭の草木が真っ白に凍りついていた。すわ雪か、と躊躇したけれどそれは霜で、そう言えばそんな和歌とかがあったっけな、とか考えてみたけど思い出せなかった。道理で朝夕が寒いはずだ。
庭の草木は軒並み紅葉し、ほんの僅かの緋色を残して残りはそろって朽葉色に褪せている。残っているのは冬を越す予定の草木ばかりで、さすがにその辺りは常緑の名に羞じまいと緑を留めてはいるが、気負いのせいかほとんど黒ずんで見えるほど深い色になっている。風が吹くとひゅうと笛のような音が響き、丸まった枯葉がかさかさと地面を転げてゆくのも寒々しい。日の光も覚束ない早朝の光景に、白銀の霜まで降りかかっては、もはや決定的な冬景色だった。
それなら霜柱を踏み潰してやろう、と勢い込んで足を踏み出すも、景気のいい音が響かない。見ると地面には点々と足跡が残っている。
知らずの内に足跡を辿ると、庭の片隅にぽつねんと兄貴が立っていた。ご丁寧に下駄ではなくて雪駄なんか履いているものだから、足跡の形に霜柱が潰れている。兄貴の早起きはすこぶる珍しい。まして、こんなに寒い朝はまずもって布団から出てこないのが常だというのに。
羽織を着込んだ兄貴は背筋を丸めてどこか遠くを眺めている。何だかその横顔は、全然知らない人みたいだった。
急に不安になって、思わずその背中に声を投げた。
「どうしたのさ、雪が降るよ」
「ああ、すっかり寒くなった」
兄貴はこっちを向いて、さり気なく笑った。雪が降るってのは、兄貴の早起きがそのくらい珍しい、というつもりだったのに、いきなり出鼻を挫かれた。
ふと見ると、兄貴は指先に緑の葉をちょいと摘んでいる。庭木も概ね葉を落とし、常緑の木も寒そうな黒々とした色をしているのに、兄貴が摘んでいるのは目にも鮮やかな緑だった。ひらりと翻った拍子に、葉裏の銀色が仄見える。目覚め際の夢の続きのようだ。
「あ、ウラジロ」
「他の葉が落ちると目立つなあ」
のんびりと嘯きながら兄貴が葉っぱを玩ぶので、見ている方ははらはらする。
「あんまり毟らないでよ、それ人気商品なんだから」
最近だと正月飾りはクリスマスリースみたいに可愛いのも増えてるみたいだけど、ここいらでは昔ながらの注連飾りが主流だから、ウラジロの綺麗な葉っぱを根こそぎ持っていくとやっぱり喜ばれる。変な毟り方をしなければ来年もまた葉が出てくるから、年の瀬の大事な臨時収入源を無下にされては困る。
「何だ、お前羊歯売りか」
「年越しは物入りだからね」
今年は喪中だけど、そうは言っても年は明ける。うちの兄貴はこと生活力といった意味ではさっぱりあてにならないから、こっちがきっちりしていくしかない。そんなこっちの懐事情を知ってか知らずか、兄貴はひょいと肩を竦めて笑った。
「ちゃっかりしてるなあ。山の恵みを拝借するのはいいが、眠った山でも叩き起こしそうだなお前は」
山眠る、は冬の季語だっけ。年中寝てる兄貴にそんなことを言われても、とか思っていたら、兄貴はふと首をかしげた。
「まあ、でも冬山は山の神も増えてるからな、あんまり荒らすなよ」
「山のものはみんな冬眠してるんじゃないの」
風音が吹き抜ける冬の山は、雑木の葉も落ちて寒々しい。どうせ兄貴の与太だろうと流そうとしたら、それに気づいたのか兄貴はちょっと笑った。
「そうかもしれんが、田の神も川の神も今時分はシーズンオフだからな、みんな山の神に転職中だから頭数だけは多いんだぞ」
田んぼはわかるけど、川にも季節ってあるのかな、と思っていたら兄貴は羽織の袖を掻き合わせてこんなことを言う。
「冬の水辺は寒い。理由はそれだけで十分だ」
また兄貴が好き勝手なことを言い出した、と肩を竦める。兄貴も背中を丸めて、白い息を吐き出す。
「何せ、あの河童だって寒くなれば川から逃げ出して、山で冬越しするくらいだからな。河童は冬になると山に上がって、山童に改名するんだ」
川の妖怪が河童、それが山に上がると山童。なるほど、とてもわかりやすい。わかりやすすぎてちょっと安直な気がする。
「……でも、河童って皿の水が乾上がったらだめなんじゃないの?」
兄貴はちょっと首を傾げてこちらを見遣った。
「蛙だって穴に入って冬眠するくらいなんだし、そんくらいは平気なんじゃねえの?」
言われてみればそうだっけ。蛙やイモリも変温動物だから冬になると動けなくなって冬眠するんだし。
「第一、あいつらはああ見えて人間に化けることにかけては妖怪の中でも屈指の名手だからな」
兄貴はひらりと手の中のウラジロを翻す。河童が化けるとかいうイメージはあんまりなかったから、ちょっと意外だった。
「化けるのって、狐や狸だけだと思ってた」
「狐狸狢猫の類は確かに変身の名手だが、はみ出す尻尾がないのは河童の優位だぜ。こう、羊歯で頭をちょいちょいっと撫でてな」
不意に兄貴がウラジロを摘んだ指をこちらに伸ばして、頭を撫でる素振りをした。その仕草が夢の中のばあちゃんと重なって、思わず言葉を呑む。
それを知ってか知らずか、兄貴は肩を丸めながら笑った。
「何せ元々が川の「童」だからな。大人になれば所属や身分や職業みたいなしがらみができてきて思うように身動きがとれなくなるが、ガキのうちは未だ何者でもない。その分、何かになろうと思えば何にでもなれる。そういう寓意を含んでの名前だ」
兄貴の台詞が、ふと記憶の中に重なった。
(――おまえがいずれ何にでもなれるようにね)
ばあちゃんの声が耳の奥で響く。明け方の夢で見たばかりの声は、それでももう遠い。
立ち尽くしているこちらに顔を向けて、兄貴はふと思いついたようにこちらへ雪駄を向けた。さくさくと霜を踏んで、すぐ真向かいに立つ。
「河童は山に入れば山童になる。そんで、たまに人の家に上がりこむのもいる。それは何だかわかるか?」
すぐ傍に立つと兄貴は見上げるほどの身長だ。項を反らして見上げながら、少し考えてから、おもむろに答えてみる。
「……もしかして、座敷童子?」
「ご明察」
兄貴は笑いながら手を延べて、くしゃっと髪を撫でた。
「川でも山でも家の中でも、己の在り処を守ることを本義とする。つまりあれの類はれっきとした神の一座だ」
不意に周囲の温度が下がった気がした。日が昇ってきたから、夜露が蒸発するはずみで気温が下がったのかもしれない。
その瞬間、ざっと凄い音を立てて頭の上を風が吹きぬけた。梢の枯葉が中空を一目散に駆け抜けてゆき、少し遅れて氷みたいに冷たい風が頬にぶつかってくる。山の木々の間で笛のように響き渡る、こういう風を天狗囃とか呼ぶんだっけ――。
「ほれ、またどこかの神が山に帰ってきたぞ」
見ると兄貴が遠く山の方を振り仰いでいた。ちぎれた風の破片が吹き抜けるたび、兄貴の袖の袂が翼のようにばさばさとなびく。
「山は眠ってるのに、みんな帰ってくるの」
ふと、兄貴の片袖の袂を吹き飛ばないように握りながらそんな風に言ってみると、兄貴はこちらを向いて歯を見せた。
「まあな。野の神も里の神も田の神も川の神も、元はと言えば山から下りていった神々だったりするからな。里帰りみたいなもんさ」
そんなもんなのかな、と思いながら庭越しに向こうの集落の方を見遣る。確かに、霜が下りた田畑や凍りついた川や、枯れ草で白茶色にくすんだ里野は、春が来るまで暖簾を下ろして準備中という趣だ。春が来ればもう秋までは休みなしだろうから、年に一度の休みくらい、神様だって実家に帰りたいだろう。
「何か、お正月みたいだね」
思いつくままにそう言うと、弾むような声で兄貴は答えた。
「そうそう。たまの休みだしな。っつっても、どうせどいつも寝て過ごすんだろうけどよ」
「こたつとかあるのかな」
「さすがに山にはないけどな、岩穴とかは案外あれで暖かいぞ。頭数がいれば、風雪さえ凌げれば結構何とかなるもんだしな」
リズミカルに兄貴はそんなことを言った。ふうん、と気のない素振りで相槌をうちながら、それでも兄貴の袖を引き寄せていたら兄貴がこちらを覗きこんできた。
「どうした」
「――兄貴は?」
「ん?」
屈託のない兄貴の声を聞きながら、袖の袂で顔を隠す。自分でもどんな顔をしてるかわからないのに、兄貴に見られたくはない。
「兄貴は、どっか帰らなくていいの?」
改めて訊いてみるのは、少し勇気がいった。
兄貴がどこから来たのか、今までちゃんと訊いたことはない。訊いて教えてくれるかどうかもわからないけど、はぐらかしたりすればそれは答えているのと同じことだからだ。そしてもし、兄貴がそれを教えてくれたとすれば、それは知っていなきゃいけないことになってしまう。兄貴は生活力もないし頼りないし寝てばかりいるけど、うち以外の場所にいるところは想像できないし、考えてみたくもなかった。それでも、うちの家に来るまでは兄貴だって別のところにいたわけで、そこもまた兄貴の居場所だったことになる。
これまでのことはどうでもいい。その代わり、これからのことはどうでもよくない。兄貴のいる暮らしは一年の間に当たり前になってしまった。この「当たり前」に、刻限は欲しくない。それでも、もしもあらかじめ限りが定められているものなのだとすれば、知らずにそのときを迎えたくはない。
ふと兄貴が、袖を取られている方の腕で抱き寄せてきた。もう片方の空いている手で頭を撫でる。
こういう優しい仕草は、待っているときには時に残酷だ。
「……おれはどっちかってーと、磐窟よりはコタツの方が好みだからな」
思わず兄貴を見上げたら、笑いながらこっちを見ていた。その笑っている声が、不意に憎らしくなった。兄貴の手を振り払って、腰のところにしがみつく。
「おい、どうした」
少しうろたえた兄貴の声を聞きながら顔を押し付ける。一頻り兄貴がおろおろと頭を撫でてくるので、その感触を確かめてから、ようやく勿体つけて訊ねてみた。
「ねえ兄貴」
「何だよ」
あからさまに兄貴の声が安堵しているのが気持ちよかった。
「河童とかって、なろうと思えば何にでもなれるって兄貴言ったよね」
「そうだな」
「それじゃ座敷童子も、何にでもなれるよね」
「何にでもって言うか……」
少し言いよどんで、兄貴はふと笑った。
「まあ、何にでもなれるな。子どもはその気になれば何にでもなれるもんだしな」
兄貴の手が止まる。その指の長い掌を掴みながら、何となく訊ねてみた。さりげなさを装いたいけど、まだそこまで器用にはなれないみたいだ。
「それじゃ例えば、天狗とかにもなれるの?」
一瞬だけ黙った後、そうだなあ、と兄貴は小さな声で呟いた。
別に答えをもらえなくてもいいや、と思っていたら、顔をさわっと何かが撫でた。見たらそれは兄貴の摘んだウラジロの葉だった。
見上げた先で兄貴がにやっと笑っていた。
「言わなかったっけな。天狗が育てた子どもは、何でもいずれは天狗になるんだ」
――覚えている。ばあちゃんが死んで間もない頃、すごい風の吹いた夜中に、兄貴が教えてくれたことだ。鳥の子や獣の子や人の子や、山で親をなくした子どもはみんな天狗が育てるんだと。
兄貴にしがみついたまま、ふざけて体重をかけたらちょっとよろけた。兄貴と一緒に踏み出した足の下で、さくっと霜が潰れる音がした。
「おい」
「へへ」
兄貴に頭を撫でられながら目を閉じて、きっと来年の年の瀬もこんな風に過ごすのだろう、と思いをめぐらせることにした。
どこかで鬼が笑っているかもしれないけれど、もうそんなことはどうだってよかった。
座敷童子
【分布】
岩手県を中心とする東北各県。
但し家屋に居住し繁栄をもたらす妖怪は日本全国で報告されており、英国北部のブラウニーや西アフリカ及びカリブ海域のレグバ等も近縁種と見られる。
【形態】
概ね義務教育期間中の小児の姿。
男児の場合はざんぎり頭に黒っぽい服装、女児の場合はおかっぱに赤っぽい服装のことが多いが、赤い座敷童は凶兆との説もある。
性別不明の場合も少なくない。
【生態】
家屋に居住して繁栄をもたらす。その一方で家屋から転出すると衰退するとも言われ、しばしば手厚くもてなされる。
その正体には異説が多い。現在よく知られているのはかつて間引きされた小児という説だが、他にも護法童子や家屋の施工業者による呪法由来というものがある。
全国的に比較的多いのは河童が家屋に住み着いたというもの。その場合、目撃すればすぐに見分けがつきそうなものであるが、河童自体が人に化けることを得意とする妖怪であるためか、発覚することは稀らしい。
うちの兄貴と徒然夜話 かとりせんこ。 @nizigaro
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