第7話  届かなかったSOS。

 僕達は、日本に帰ることになった。それはいいのだが、僕の愛犬シロのことが問題になった。日本に帰ったら、もうペットを飼えなくなるというのだ。


 シロは僕の親友だった。子犬のシロは、僕といつも一緒だった。シロとのお別れ、僕は一晩中泣いて、“嫌や、嫌や”と駄々をこねた。


 だが、駄々をこねても仕方がない。僕は、シロと一緒にいることを諦めた。それなら、良い飼い主を見つけてあげたい。シロを可愛がってくれる人じゃないと困る。


 急遽、飼い主を募集したら、近所の中国人の一家が引き取ってくれることになった。僕は、中国人のオジサンに泣きながらシロを手渡した。


 翌日、僕はスグにシロに会いたくなった。ちょっと会うくらいならいいだろう。僕は、朝からシロを引き取ってくれた中国人のオジサンの家へ行った。だが、おかしい、庭にシロの姿が無い。家の中で飼われているのだろうか? とにかくシロに会いたい。僕は玄関チャイムを鳴らした。


 オジサンが出て来た。


「シロは?」

「ああ、美味しかったよ」


 僕は帰って、何日も泣いた。僕はシロからのSOSをキャッチできなかったのだ。僕は泣きながら、シンガポールを発った。







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【新】僕のシンガポール戦記。※改稿版 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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