第7話 優先順位
鳥のエドが「リク、それにみんな、まずは城に案内します。ついてきてください。」
群衆を背に僕らは街の正面に立つ城に向かった。さっき僕に握手を求めたネズミが「リク、またな。がんばれよ。」大きく声をかけたのが聞こえた。
そして僕らは、絵本に出てくるような、城へ着いた。
月が一番に「きれいな城ね。月面にはこんなきれいな城はないし、造れない。石の成分が軽すぎてうまく形が形成できないの。リクの世界の砂に近いみたい。
だから月面の建造物の技術はあまり進歩せず。地下建造物になってるの。」
僕はネットで見た、月面の景色を思い出した。確かに埃っぽくて、隕石落下の跡のクレーター以外建造物は見あたらなかったな。
まあ、今は月面のことはさておき、エドに続いて城の中に入っていった。
もちろん城の中に入る際は僕のカラダもヤマト、ウラルのカラダは龍から人間のカラダに変身している。
中は外の生命体やヘンテコな景色と違ってシンプルだった。白で統一された色。家具も照明も美術品さえもシンプルで機能的なものだった。
「エド、城の中は意外とシンプルなんだな。」
「そうさ。新しい支配者が変わるたびにリセットされる。そのためシンプルなのさ。」
「へえー。それじゃ、僕の好きに使っていいなだな。」
月が「リク、私もヤマトもウラルもいるのよ。」
「そうだったな。すまない。」僕は城の奥の扉を次々に開けていった。誰かが僕を呼んでいる気がした。
ヤマトとウラルは僕の後をついてくる。エドは頭の上を飛びながらついてきている。月は?まあいい。語句は奥へ奥へ
「この部屋だ。」僕は両手で扉を開いた。大きな鏡があった。
頭の上のエドが「歴代の7番目の龍で初日にこの部屋にたどり着いたのはリクが初めてだよ。鏡もリクを呼んだんだな。それか危険がせまっているのか。」
「エド、この鏡はなんなんだ?」
「鏡に聞いてきればわかる。」僕は鏡の前に立ったが、気づくと月が先に鏡を覗き込んだ。
鏡が月に話かける。「お前は何が知りたいのか?」
「世界で一番きれいなのは誰?」
「それは、3つの世界をつなぐ点の世界にいるラピスラズリの石の姫だ。」
「それは誰?石の姫?」
「そうだ。見たいか?」
月が大きくうなずく。
「鏡が激しく光った。そこには瞳がラピスラズリ色に光輝く、長い緑の髪の姫の姿がいた。」
僕にはその鏡の中の姫が月に見えた。「あれ、月じゃないか?」
月が「えっ?ワタシ?」言葉を発したとたん。月の髪の色が緑に変わり瞳がラピスラズリの濃いブルーに変わった。
月は固まったまま。月は鏡に聞く「私は月面人よ。ラピスラズリの石の姫ではないわ。誰なの彼女は?」
「彼女はお前だ。月。リクの世界にはラピスラズリは太古の昔から存在する。それは月面の世界からもたらされた鉱石だ。はじまりは3つの世界をつなぐ点の世界にいるラピスラズリ。そのかけらたちは3つの世界に放たれた。月面は今、表面には砂状の鉱物しかない。しかし、月が知っているように地下に都市は造られ発達して来た。そのもっと奥に核がラピスラズリだ。」
「月はそういえば、小さい頃に地下の奥深くに、はじまりのきれいな青い石があると聞いたことがあったのを思い出した。
「でもどうして、私にはリクが必要だった?私は、月面を出るときに7番目の龍を探し、新しい世界をラピスラズリの世界を造るためだったとは聞いたことなかった。ただ、7番目の龍が新しい世界を開けてくれる。月面の民を救い、つないでくれるってことだけだった。」月は少し間を置き「でも、正直、深くは考えなくてリクを探しに来たの。たまたま、運よく龍のヤマトとウラルに会って、ラッキーだったの。」
僕は月に「真剣に聞けが、重い話だけど、月が言うと話が軽く聞こえる。まあ、いいか。なるようになるって感じだな。でも、きらいじゃないよ。その軽さ。」
月が「リク、今、褒めた?私のこと褒めたでしょう。会ったときは変な女子って避けてたくせに。」
「そうだな。じゃ、次は僕だ。鏡よ。僕はここで何をすべきか教えてくれ。」
「リク、何を?それは答えられない。自分で探せ。相棒の月がいる。2人でこの世界を造っていくんだ。自分の力で。この世界にいる、多種多様な生命体のために。
それにお前にはヤマトとウラルがついている。エドもいる。それにリクさっきの群衆の中のネズミの声が聞こえただろう。小さな声が聞こえた、拾えただけでお前は、すでにお前らしいこの世界、箱をお前の理想とする世界に造り始めている。」
夜空に月が浮かぶ。龍が飛ぶ。おぼろの季節。わずかな時だけ開くおぼろの世界。もし君がつかれているならば、夜空をみあげてほしい。
おぼろの世界を造ろうとしている新人の7番目の龍のリクがいることを。
月と龍でおぼろヤマト 京極 道真 @mmmmm11111
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