第6話    おぼろの世界

僕は月と共にヤマト、ウラルの背中に乗っておぼろに世界に足を踏み入れた。

「なんだここは?」

目に入ってくる景色が自由過ぎる。人間に羽根。馬が2足歩行。ウサギが車を運転していて、大きなクジラが道の上をずるずると泳がず歩いている。

白い雲は一応、空らしき上部に綿菓子みたいに貼り付いてる。

「月ここは?」

「たぶん、ここはおぼろ。のはずだけど。リク正直ここに来るのは私もはじめて。

たぶん、おぼろの世界で間違いないと思うけど。」

僕はヤマトの背中から降りた。月もウラルの背中から降りた。

「ヤマト、ここがおぼろの世界なのか?」

「そうだ。おぼろはリクの世界とつながっている。リクの世界の空に扉があると聞いていた。」

僕はウラルに「ウラル、ここで間違いないんだな。伝説の7番目の龍、僕がはじめる世界はおぼろ、ここで間違いないのか?」

急にウラルが弱気な声で「たぶんここだ。しかし、俺様達、龍に伝わる世界、7番目の龍の世界がこんなふざけた世界だとは思っていなかった。正直戸惑っている。」

ヤマトも「そうだな。伝説の龍の世界だ。この世界の入口には地獄のようなこわい門番がいて、一人ずつチエックされて生死を分けるくらいの恐怖があるかも、ぐらいの気持ちで、この世界の扉に飛びこんだつもりが。」

月も少し拍子ぬけの感じだ。

しかし一つだけこの世界に来て変わったことがある。姿だ。

僕の姿は間違えなく、龍になっていた。

月は、さっき自分で言っていたように着物をきた長い髪のかぐや姫になっていた。

僕は「姿だけは、僕らおぼろ的に変身した感じだけど。さて、新しい世界を造り、把握することが僕に本当にできるのだろうか?正直、不安になってきたよ。こんな無秩序状態をどう統制すればいいのか?」

ヤマトが「お前が、ここの箱の世界のおぼろの支配者だ。好きにすればいいさ。」

ウラルも「俺様もそう思うぞ。リクの好きにすればいい。」

月は横で物珍しいい着物を着て長い袖を垂らしてグルグル回って遊んでいる。

僕の話を聞いていない。

雅から、かけ離れた世界だ。だがよく考えてみるとおぼろの世界も、もともと誰も行ったことがない。人間の僕でさえ、月に霞雲が、かかりおぼろな景色。風流だな、ぐらいだ。しかし、よく考えてみたらそれは、人間側、こちら側の勝手な想像だ。

想像も数がふえ、時間だ経つと本当になる。まさにそれだ。

なんだか、どこかの嘘っぽい脳トレ、イメージトレーニングのような思い込み。刷り込み。

それを逆手にとると自由に変えることができるってことだ。

僕は、このふざけた無秩序な状況を活かしたい。種族、性別、生息地に関係なく個々がやりたいように、住みたい場所でこのおぼろの世界に貢献できることを望む。

どんなに才能があっても活かされなければ、無いものと同じだ。

「僕が個々の世界の支配者だ。才能のある奴は手をあげろ。自分が天才だというのも手をあげろ。すべての生命体が自己アピールできる世界を造る。そうできる環境をみんなに提供したい。」

僕は突然、大声で演説をしていた。

まわりのヘンテコな生命体たちが立ち止まり。「パチパチパチ。」歓声と拍手。

小さなネズミさんがバイクを降りて僕に握手を求めて来た。僕も自然と手をだし握手する。

しかし、声はたくさんある。聞こえる。僕のことが物珍しい声。期待する声。僕を排除する声。龍の僕の耳に同時に入ってくる。これが僕の箱の世界の民か。

異世界から急に来て、100%歓迎なんて、望んでいない。そんなことある方が、気持ち悪い。現に僕が必要で探していたと言った、月でさえ、着物に浮かれて僕の話など聞いていない。まあ、いい。すべてごちゃごちゃでいい。

しかし、気づくと僕のまわりに大勢の群衆が。中からひと際、輝くを放つ鳥さんが一羽。僕の前に出て来た。

「私はエド。おぼろの番人です。代々この世界の支配者の仕えてきました。

ようこそ。お待ちしていました。君の世界、おぼろへ。

7番目の龍、リク。この世界をどう君がおさめ、統制するか。楽しみです。」




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