オレのことを大っ嫌いな幼馴染を助けたらめっちゃバカにされるかと思ったら、まさかのデレの属性へと進化したかもしれない

猫の集会

あれれ…?

 オレは隣の家に住んでいる幼馴染のユイカが大好きだ。

 

 

 でも、どうやらユイカはオレの事大っ嫌いらしい。

 

しゅん……もー、こっち見ないで。」

 と、本の横からこっちを凝視しては呆れ顔。

 

 

 いや、ユイカがずっとみてるからその視線に気づいてみたんだが…

 

 ユイカは、オレのことキモいっていいながらもオレの部屋に入り浸る。

 

 …

 

「これ食べる?」

 オレは小腹が減ったのでなにか腹の足しにしようとチョコを食べようとした。

 

 でも、目の前に人がいるのに自分だけってのはどうよ?ってことでユイカにチョコを差し出したんだけど…

 

「そうやって食べ物でわたしをつっても無理だからね。」

 とチョコをお返しされた。

 

 かと思えば、

「そんなにかなしい顔するんならもらうよ」

 と食べだす。

 

 

 いや、かなしい顔…したかな?オレ…

 ま、いいか。

 

 そんな感じでいつも嫌いとかキモいとかいいながらもオレのそばにいるんだけど…

 

 

 

 

 

 とある休日、路地裏でどうやら一人の女性が二人組の男性に絡まれていた。

 

 ‼︎

 

 ユイカ⁉︎

 

 ユイカは、二人の男性を目の前にしても

「わたし、彼氏いますのでそこどいてください!」

 と強気で男性二人をおしのけていこうとしていた。

 

 まぁ、ユイカに彼氏なんていないけどさ。

 

 

 そんな強気のユイカに、譲らない男ども。

 

 それを見たオレは、フードを深く被りマスクを装備。

 

 

 そして…

 

「おい、にいちゃんどもや。オレの彼女になんかご用かなぁ?」

 とジャブを一発一人の男に寸止めした。

 

 すると男どもは、あっさり逃げていった。

 

 

 ボクシングは、やったことないけどパンチンググッズが家にあってよく兄貴と遊んでいたので、それが役に立ったようだ。

 

 ユイカに顔バレするとバカにされそうだったので、フードを被ったまま背を向けて帰ることにした。

 

「あのっ、待って!」

 とユイカがオレをとめようとするから、とりあえず振り返らないで手だけ振って帰った。

 

 

 で、家に帰り一応ユイカにバレないように違う服に着替えた。

 

 

 すると予想通りユイカがドタバタとオレの部屋に全力疾走してきた。

 

 

 …どんだけ階段早く走れんだよ?と軽く感心。

 

 

「ねぇ、聞いてよ‼︎」

 と目を見開いて興奮するユイカ。

 

 さっきの出来事を事細かに話してくれた。

 

 …ご丁寧に時間まで記憶していたユイカ。

 

 で、話終わるといきなりオレに立ってみてくれない?と言い出した。

 

 よくわからなかったけど、いつも意味不明なユイカだから付き合ってあげることにした。

 

 

「うん…、なるほど」

 とオレの身長チェックをしていた。

 

 …もしかしてオレってバレてた⁉︎

 

 とりあえず服着替えておいてよかったー。バレたら絶対笑われるやつ。

 と、一人ドキドキハラハラだった。

 

 

 そしてユイカは、オレをジーッとみて

「瞬…ってさ、無駄に背でかいよね。」

 と言いながらオレをけげんそうにみた。

 

 …

 

 ユイカは、オレの高身長が気に入らないと前から言っていた。

 

 

 オレが女の子から告白されるたびに、

「身長でみんな誤魔化されてるんだよ」

 という。

 

 …もしかしたら、それもあるのかもしれない。

 

 そしていつもユイカは、

「瞬のくせにさ」

 と冷たい視線を突き刺してくる。

 

 

 オレのハートには、もう何本もユイカの冷たい針が突き刺さっているのだ。

 

 

 オレはそんなハートに突き刺されてもユイカが好き…そしてユイカは、オレのこといつもキモいとか嫌いって言いつつもそばにいて…

 

 わけがわからない。

 

 でも、そんなに居心地が悪いわけでもない。…なんならむしろ居心地は、いいのだ。

 

 

 いうならば、部屋全体の空気が薄いピンク…というか、クリーム色といいますか…よくわからないのだけれど、優しい色に包まれている感じなのだ。

 

 

 まぁ、それはオレが勝手に思っているだけで、ユイカがどう思っているかは…知らない。

 

 

 しかし‼︎

 今は、そんな優しい色でもなければ優しい空気にも包まれていない‼︎

 

 なんなら、真っ裸にされて冷たい水鉄砲をいきなりくらった気分だ。

 

 バレたか⁉︎

 さっきのオレってバレてんのか…?

 と、ヒヤヒヤだ。

 

 絶対腹抱えて笑われるやつー‼︎

 

 とりあえずなんとか違う話しで誤魔化してその場は、なんとか回避された。

 

 

 

 その数日後…

 

 オレは学校の帰り道、バイトに向かう途中だった。

 

 ちょっと友達と遊び過ぎてバイトに遅れそうだったので自転車を飛ばしていた。

 

 するとひょっこりと猫が飛び出してきた。

 

 

 ‼︎

 

 慌ててブレーキをかけたら、めっちゃ空を舞った。

 

 自転車で空を飛ぶやつって、映画みてーだわ。

 

 すげ〜と、感動したんだけど…どうやらそれからの記憶は、ない‼︎

 

 

 

 

 

 

 いってー…

 

 ひどい頭痛で目が覚めた。

 

 

 あれ?

 ここは…

 

 …

 

 真っ白の壁に真っ白のカーテン。

 そして真っ白なオレの脳内。

 

 …ん?

 

 

 あれ?

 ここ病院かな?

 

 部屋を見渡すと、オレの手に点滴が繋がれてて…その手を握りしめながら、ユイカが眠っている。

 

 …ユイカ?

 

 

 なんだかユイカの寝顔がとっても疲れているみたいだった。

 

 なのでオレは、無意識にユイカの頭を撫でていた。

 

 

 カバッ‼︎

 

 ⁉︎

 

 ユイカがいきなり目を見開いてオレを見入った。

 

 なんだよ…⁉︎

 怖い夢でもみたのかと思えば、

「瞬‼︎瞬‼︎」

 と、オレの名前を連呼…

 

「あ、おはよう…」

 と一応挨拶してみた。

 

 するとまさかのボロ泣きのユイカ。

 

「おい、どうした⁉︎」

「どうしたじゃないよ‼︎バカ‼︎」

 と言いながらユイカは…ユイカは…オレの手をギュッと握りしめた…かと思うと、

「ほんっと瞬って大っ嫌い‼︎」

 と言いながらも…オレを抱きしめております…ね?

 

「ユイカ…ユイカって、オレのことやっぱり嫌いなんだ?」

「うん、大っ嫌い‼︎キライキライキライっ」

 と言いながらオレをギュウギュウした。

 

 フッ、

「意味わかんねーぞ。ユイカ」

「キライ…ずっとキライ…」

「うん。わかったよ。ユイカ」

 

 オレもユイカを抱きしめた。

 

 ユイカは、昔から反対言葉ごっこが好きなんだった。

 

 なんでオレは今まで気づかなかったのだろう。

 

 

 ユイカのキライは、好きなんだ。

 

 

「ユイカ、ありがとう」

 心配して泣きじゃくるユイカにオレはそっと涙を拭いてキスをした。

 

 するとユイカは、

「はぁ?キモいことすんな。」

 と言いながらも顔を真っ赤にした。

 

「かわいいよ」

 と、オレはもう一度ユイカにキスをした。

 

 するとユイカは、

「キモいよ‼︎キモいならキモいらしく…もっと…もっといっぱいしてよ‼︎キモいくらいいっぱいして!」

 と、まさかのデレの属性へと進化するのでありました。

 

 

 

 

 オレは、軽い全身打撲ですみ数日後には退院した。

 

 

 オレの部屋で待っていたユイカ。

 

「おかえり。瞬がいないとまた変なやつに絡まれるからここで待機してた」

 と笑った。

 

 

 バレていた…。

 

 まぁ、でもバカにされなくてよかった。

 

 そのかわりに、

「瞬、ハグ…して?いっぱいキスもして?」

 とオレに優しく抱きついてきたのでありました。

 

「おかえり。瞬…」

「ただいま、ユイカ♡」

 

 ギュッ〜♡

 チュ〜♡

 

 こうして優しいピンク色した空気の中、ユイカに包まれるのでありました。

 

 いや、ピンクってか…赤だな。真っ赤っかだ。

 

 もう、唐辛子くらい真っ赤で暑いくらい幸せっすね。

 

 ♡

 

 

 おしまい。

 

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