人間も、神様も、望んだのは幸せの続け方

 私の旅はもうおしまい。

 ひどく無謀で、無意味で、どうしようもない旅。

 けれど、これが最後だから。

 最期くらいは、笑って終わりにしたい。

 そう願った私の前に現れた神様。

 神様が取り零した一つの物語。

 彼は物語の続きを繋げるために来たのだと。

 神様は困ったように言った。

 物語とは、いわゆる、神様たちが愛と夢を叶えるための人の人生だと言った。

 けれど自身で物語は紡ぐべきなのだと。

 神様は綻ぶように笑った。

 創作物なんて、さしづめ、人々が有限であるがゆえの絆と強さを知るための人の人生だと微笑った。


――それでも、この物語を終えるか?


 神様に問われた私は、戸惑いながら手を伸ばした。

 虫眼鏡を手渡した私に神様は言った。


――せいぜい長く生きてくれよ?


 神様が虫眼鏡を覗き込むと、その奥には、見覚えのある世界が広がっていた。

 神様は最後に笑った。


――君の行路に幸あれ……


 そうして、私はその世界に飛び込み、眠る私を見下ろした。

 私には三分以内にやらなければならないことがあった。


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語られなかったのは、8つ目の物語 うめもも さくら @716sakura87

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