増税メガネ

増税メガネ

　じつは岸田首相は増税していない。

　にも関わらずネットやマスコミで「増税メガネ」とあだ名され、揶揄されているのは個人としては気の毒に思う。「理不尽だ！」という思いもきっとあるでしょう。ただ、首相に向けられる罵声は、首相個人に向けられたものというよりは首相が統括する行政そのものに投げかけられた罵声と捉えるべきで、よくある言葉でいうと「政治不信」が招いた「政権に対するＮＯのサインしてというわけ。

　こんにちは、藤光です。

　KACの締めくくりとなるお題は「めがね」ということなんですが、眼鏡……ねえ。ぜんぜん思いつかなくて、「増税メガネ」と呼ばれ叩かれ、完全に死に体といっていいのに命運の尽きない岸田首相の政治について思うところを書きます。

　半世紀以上生きてきて、政治ってそんなに特別なことではない、小学校の学級活動、中学校の生徒会活動のスケールを大きくしたもので、結局は人の群れ同士のパワーゲームだって感じます。

　ゲームに明け暮れているのが政治家で、ゲームとは無関係に、しかしときには密接に関係しながら実際の行政を担うのが官僚です。政治家と官僚が両輪となって国の行先を決めているというイメージでしょうか。ただ、最近のこの国はうまく前へ進めていなくて、そのもやもやが「増税メガネ」って言葉に表れているように思います。

　藤光が思うに、「増税メガネ」を作ったのは新型コロナウイルス感染症です。それだけが原因じゃありませんが犯人として容疑が濃い。

　先先代の首相である安倍さんが辞めたこと覚えてますか。「アベノマスク」に象徴される的外れなコロナ対策を責められて持病を悪化させてしまったからですよね。当初は、死亡率が非常に高いといわれ、世界中がパニックでした。みなさんもそうだと思いますが、2020年は新型コロナウイルス対策で日本中が右往左往しました。もうああいうことはごめんです。

　先代の菅さんは１年で辞めましたが、やはり理由はコロナ対策です。安倍さんの路線を踏襲した菅さんの内閣は、鎮静化するのかと思われた新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大に有効な施策を示すことができず、国民の心が離れていきました。感染者がどんどん増える中、開催された東京オリンピックが、のちに汚職にまみれた大会だったと分かったことも自民党に対する大きく傷つけたように思います。

　菅さんの後を受けた岸田さんの内閣でコロナは下火となりましたが、コロナ禍からくる世界的な原材料不足とロシアのウクライナ侵攻を受けてはじまったインフレが直撃しました。中国、ロシア、北朝鮮を仮想敵に防衛力を大幅に強化するといってますし、昨年は異次元の少子化対策なんてのも言ってました。

「いやいや、インフレで家計の支出は増えてるんだよ。防衛力強化？　少子化対策？　借金漬けのこの国にそんなお金ないでしょ。どうせ、おれたちに増税して賄おうって魂胆だろ」

　岸田さんが「増税メガネ」と揶揄される理由ですね。まだ増税していないけど、どうせ忘れた頃に増税するんだろ、このメガネ！　ってわけ。

　岸田さんというか、自民党にうんざりしている人は多い。ただ、以前の民主党政権から安倍さんの自民党政権に戻った頃から、国民は「野党より自民党の方がまし」という消極的な政権選択をしてきていました。それがいま、政治資金パーティーを巡る自民党の裏金問題で「こんないい加減な人たちでいいのか？」という問題に直面しています。

　なにが問題って、選挙で投票したい人がいなくなってしまった。。。立憲民主党は民主党の残党なので、特に保守派からは相手にされてないし、日本維新の会は議員の質が不安、共産党は共産党の論理しか通用しません。どこにも投票したくない。

　亡くなった安倍さんは、あえて選挙に行かない人たちを増やす戦略をとり、その中でも確実に投票する人たち（業界団体の構成員とか、公明党支持者とか）に集中して働きかけて、低い投票率に誘導して堅実に勝ってきたと思うんですけど、今回の裏金問題と旧統一教会問題で自民党にも投票しにくくなってしまっているように思います。

　岸田さんがぐずぐずと首相を続けていられるのは、「ほかに選ぶべき党と人もない」といういまの日本がおかれた不幸な状態を象徴しているのではないか、「増税メガネ」というあだ名は、国民によるせめてもの憂さ晴らしという面が強いのではないかと思ったのでした。

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　とりとめのないこと書いてしまいましたが、藤光のKAC2024はこれでおしまいです。つぎはKAC2025で（?）お会いしましょー♪読んでくださった皆さんありがとうございました。