メガネ君とめがねちゃん~先生、キスがしたいです~
豆腐数
□‐□
「僕はメガネ君。高校のクラスでメガネメガネ呼ばれているうち、いつしか本当の名を忘れてトンネルの向こうの町から帰れなくなったメガネ君。そしてこっちは彼女のめがねちゃん」
「誰がめがねちゃんよ
本をめくりながら怒られた。トンネルの向こうの不思議な町に行っても彼女と一緒なら名前を忘れずに済みそうだ。そんな彼女の名前は
僕も友達とケンカすると「うるせー
僕がこーんなにめがねちゃんの気を引こうとしているのに、僕の部屋でおうちデートだというのに、めがねちゃんはそっけなく小説を読んでいる。図書館で借りた本の期限がヤバイらしい。お付き合いも長くなっちゃうと初々しさはなくなり遠慮のなさだけが残るのだ。悲しい、悲しすぎる。
僕も別にニンテンドースイッチとかでギャルゲーの続きでもやってたっていいんだけど、せっかく彼女がいる時にギャルゲーもなあ、って思うじゃない。別に僕のめがねちゃんは「か、彼女の私がいるのにギャルゲーだなんて!」なんて嫉妬しないんだけどさ。活字中毒だからノベルゲーム系もやらなくもないし。てかそんな子、ギャルゲーでも見たことないよ。エロ本嫌がる子ならいたと思うけど。
でもメガネの小説好きは王道だな。流石にメガネほむらみたいな三つ編みじゃなくてロングストレートだけど。僕のやったギャルゲーの一つだと、キャラクター原案の人がメガネっ娘をデザインする際三つ編み以外で、って言われて悩んだらしいんだけど、なんでメガネっ娘といえば釘を刺されるほど三つ編みなんだろうね? 地味子は髪型に頓着しないからって事かもしれないけど。
とかここまでめがねちゃんを見つめながら一人で考えているうちに800字を越えてしまったので、そろそろ本題にはいるんだけど。
「めっちゃくちゃキスがしたい」
「……別にすればいいじゃないのよ」
「メガネ同士でキスするとメガネが当たって危ないじゃん(一敗)」
「外せばいいでしょ」
「僕眼鏡っ娘フェチだからキスの時もなるべく眼鏡してて欲しいし、ムッツリスケベだから目は閉じずよく見える視界のままキスがしたいんだよね。詰んだ」
「眼鏡割って死んだら?」
ド辛辣。譲歩してくれてるのに僕がバカな事言ってるのが100悪いんだけど。僕にジッと見つめられていてもガン無視で本を読み続けていた彼女も、とうとう本を閉じてカバンにしまい、僕の方へにじり寄ってきた。あ、殴られるかな。いや今はめがねちゃんの自慢の武器の本も自らカバンに収納済みだ。そもそも借りた本で遊んじゃダメだし。
とか言ってたらめがねちゃんの顔が近づいて来てキスされた。メガネは当たりませんでした。結局近すぎてぼやけてたけど至福だった光景は一瞬で離れ、かきあげていた手から解放された円花の綺麗なストレートがフワリと元の位置に戻る。
「角度考えてすりゃあいいのよ。わかった?」
「……はい」
だってだって、ギャルゲーには眼鏡同士のキスなんて書いてなかったんだもん。主人公のメガネ率ってすごく低いしさ。眼鏡同士のキスシーンなんて当然ないわけですよ。
流石円花さんです。もう心の中でめがねちゃんとか茶化す気にもなりません。読んでた本も「眼鏡屋直次郎」と眼鏡にちなんでいるだけあって、眼鏡の取り扱いには詳しいようで。
メガネ君とめがねちゃん~先生、キスがしたいです~ 豆腐数 @karaagetori
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