私、眼鏡派です
大田康湖
私、眼鏡派です
私と眼鏡との付き合いは中学生のときからだから、ほぼ40年ということになる。そもそも、当時私の家族に眼鏡使いは誰もおらず、視力が低下したのは私の悪癖が原因である。
私は小学校高学年から子ども部屋で寝ることになった。どうしても眠れないときは、別の部屋で寝ている家族に気づかれないよう、こっそり部屋の豆電球を付け、本棚から持ってきた本を読んでいた。これが悪かったらしく、視力がみるみる下がってしまった。学校の健康診断で指摘されたことから、私は母親と一緒に眼科に行き、視力測定をした。私の視力は近視に乱視が入っているということで、初めて眼鏡を作った。
大学時代になると、コンタクトレンズを入れる友人も増えてきたが、私は目にレンズを入れるのが嫌だったのと、手入れが面倒くさいという理由で見向きもしなかった。
社会人になると、眼鏡のフレームにも凝るようになってきた。当時出回り始めたハーフリムや細いチタンフレームは、キーボードを打っているときもフレームが邪魔にならず、同じタイプの物を買い換えて愛用していた。
眼鏡の安売り店が出始めたのが20年くらい前だろうか。お陰で眼鏡を作るハードルはかなり下がった。とはいえ、近視と乱視が入っていることもあり、レンズは基本オーダーし、パソコンを長時間見ても疲れにくい加工を入れてもらっている。
しかし、50歳前からこれまで普通に使っていた眼鏡の焦点が合わなくなってきた。仕事で細かい数字を見るときなど、眼鏡を外した方が見やすいと感じるようになったのだ。
ついに老眼が始まったと覚悟した私は、当時出回り始めた多焦点レンズの眼鏡に切り替える決意をした。レンズ内の焦点を合わせる位置で見やすさを調節するのだ。
幸い新しい眼鏡にはすぐ慣れた。現在は外出中やパソコンを見るときは眼鏡、ベッドでスマホや本を読むときは裸眼と使い分けている。正直この年になって裸眼で見る生活が戻ってくるとは思わなかった。
私、眼鏡派です 大田康湖 @ootayasuko
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