第19話
さて、なんだかんだ言って
『チェイサードック』の居る『ラウンドの草原』に来ました。
なんかどどどって土煙あげてこっちに来る奴がいる。
そしてききー!!って感じにブレーキして止まる。
凛々しい顔をしたお犬様である。
どうやらコレが『チェイサードック』らしいな。
そしてなんか私を見て
腹ばいするんですが
「はっはっはっはっ」
どうしたどうしたチェイサードック?
討伐対象だろう君?
なんで腹ばいして服従してるのさ。
「カミルくんの凄さを理解してるねこれは」
「は?」
チェイサードックの腹を撫でながら私は言う。
アベルくんが撫でようとすると
腹ばいをやめて
すこし睨みに近い目をするチェイサードック。
私が
「撫でようか」
というとまた腹ばいする。
ケインが近くで
「俺も撫でていいかな?」
と言うと
無言のチェイサードック。
でも撫でさせてくれるらしい。
「なんで俺だけ駄目なんだ」
と頭を抱えるアベルくん。
するとチェイサードックは
仕方ないなという感じに
腹をみせ
あたかも仕方ないから撫でさせてやるのポーズを取る。
撫で撫でするとそれでもウットリ顔のチェイサードック。
懐いているのはこの子だけらしい。
他のチェイサードックは警戒し
ううっと唸り声を出す。
そして私たち目掛けて突進する。
懐いているチェイサードックは私達と連携してくれる。
「君!一緒に戦ってくれるんだね?分かった!やろう」
「うおん!(任されよ)」
(いまチェイサードックの声が理解出来たような)
「カミル、俺たちもいくぞ」
「うん!」
ケインと私は連携し、チェイサードックの突進を止める。
「うおーん!(いけー!)」
チェイサードックが吠える。すると彼の相棒の腹から閃光が走る。
アベルくんが『ブレイズショット』を撃ったのだ! そして同時にチェイサードックも動く。私の横に並ぶと剣に魔力を集めるような動作をする。
「うおおん!(主殿!力を貸す)」
(主殿?私の事!?)
「うん!お願い!」
すると私の魔力も高まり剣が光り輝く。
そしてチェイサードックが私の前に立ち、 剣を振り下ろすと同時に私も剣を振り切る。
2匹の魔力と剣技が合わさった一撃は『ラウンド』の草原に巨大なクレーターを作ったのだった。
「うおおん!(主殿!やったな)」と嬉しそうにするチェイサードック。
「カミルくん凄いね」
チェイサードック2匹が仲間となった。
「うおおん!(主殿!これからよろしくな)」
「よろしくねー!」
私は新しい仲間に挨拶をした。そして皆で仲良く暮らすことになった。
「うおおおおん!(感激であります!!)」
私がアベルくんとケインとパーティを組んでから、依頼を受けることが多くなった。でも私も仲間も怪我をすることもなく順調に依頼をこなすことが出来ている。
「カミルくん、今日もお疲れ様」
「うん、ありがとう」
アベルくんが私に飲み物を渡してくれる。
チェイサードック2匹には
それぞれ
『アイル』『デイル』の名を与える。
「うおーん!(主殿!ありがとうございます)」
「うおおん!(感謝であります!!)」
彼らは私が好きだと言ってくれている。私も彼らの事は好きだ。でも私はそんな彼らに言っていないことがある。それは『男』だということをだ……。
でもいつか言わなくてはいけないだろうと思っていると、ある日事件が起こったのだ……。
アイルが私に交尾をしようとしたのだ。きっとそろそろチェイサードックの盛シーズン。
「うおおん!(主殿!どうか)」
「ダメだよ。私は男だから交尾は無理だよ」
しゅんとなる。2匹。
私の眼鏡は特注品 みなと劉 @minatoryu
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