ネイ探偵八島耕作の∞推理
芳乃 玖志
∞とメガネは似ている
「8を横にすると∞だが、∞と言う形はメガネに似ているんだぜ。だから、メガネには∞の可能性があるんだ」
ネイ探偵八島耕作はそう言った。ちなみにネイ探偵というのは彼の造語で
「つ、つまりどういうことなんだ八島君?」
「えぇ、謎は全て解けたという事です」
初めからそう言って欲しい。
「で、では……この密室の謎も!」
「いえ、それはまだ分かりません」
全部解けてないじゃん。
「ですが、犯人は分かりました。密室の謎についてはあとから犯人にじっくり聞けばいいでしょう」
「う、うむ……では、犯人は一体……?」
「犯人は……伊達川さん!あなたです!!」
八島はメガネの女性を指さす。こいつがメガネをかけている人を犯人扱いするのは珍しいことだ。ノーメガネ・ノージャスティスを普段から謡い、メガネをかけている人に悪い人はいないと豪語しているのに。
「な、なによ!なにを根拠に私が犯人だと……証拠はあるの!?」
「証拠は三つあります」
右手の指を三本立てる。
「まず一つ目、他の容疑者の方たちにはアリバイがある事。物部川さんと
推理とは特に関係ないが、今回の犠牲者は
「二つ目、あなたは
ちなみに、矢部川さんと
「そして三つ目、あなたは……伊達メガネですね?」
「くっ!!すべてバレていたというのね!!」
「えぇ、伊達メガネは度の入っていないただのガラス。そんなものを真のメガネと認めるわけにはいきませんから」
多分、そこじゃない。
「伊達メガネをかけていたのはその方が賢そうに見えるからよ……でもあの女も悪いのよ、私が生涯をかけて作った芸術品を――――」
「バカヤロウ!!!」
伊達川さんの供述を遮って八島は叫ぶ。
「そうやって、ファッション感覚でメガネをかけるやつがいるから!いつまで経ってもメガネなんてただのアクセサリーでしょ?と軽んじるやつがいるんだ!!メガネは目が悪い者にとってなくてはならない体の一部のようなものなのに!!」
「た、探偵さん……!」
伊達川さんは感動のあまり泣き出してしまった。
こうして、伊達川さんと梯川さんは逮捕され、
「だが、メガネの可能性はまだまだ眠っているはずだ。僕はこれからもその∞の可能性を追い続けるよ……!!」
ガンバレ、ネイ探偵八島耕作。いつの日か、全人類がメガネをかけるその時まで――――。
ネイ探偵八島耕作の∞推理 芳乃 玖志 @yoshinokushi
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