加計メガネ掛けなくなった【KAC20248】

だぶんぐる

加計さんは眼鏡をかけぬ

「加計、眼鏡掛けるんだ?」


 朝のHR、俺は隣の席の加計に話しかける。


 加計久美。


 高2で初めて同じクラスになり初めて喋った女子だけど同じゲームが好きだという事が発覚し仲良くなった。

 そして、席替えで隣同士になり知った。


「やー、それがさあ、夏休みもゲームしてたじゃん? 大分目が悪くなったみたいでねー、がはは」


 加計のこの感じが心地いい。

 言ったことはないけど、俺はもう親友だと思っている。

 だけど、加計の眼鏡姿は新鮮でついついじっと見てしまい、加計が嫌がり始める。


「見んな。ほら、アタシの眼鏡、オシャレ眼鏡じゃないからさ。ただでさえアタシ可愛くないのにより可愛くなくなるじゃん。だから、あんまじっと見るなよ。はずいはずい」

「そう? かわいいと思うけど?」


 俺は加計の眼鏡かけてる顔もかわいいと思った。


「…………」


 だけど、加計は気に入らなかったのか、その日は俺の方を見ず一度も話しかけてくれなかった。


 そして、その日以来加計は俺と話す時は眼鏡を外すようになった。



「思ったより、ショックだな」


 それが俺の偽らざる本心。

 自分でもびっくりだった。

 こんなに、加計が俺の前で眼鏡を掛けないのがショックだったなんて。


 あからさまに俺を避け始め、女子と話すことが増えた。

 ゲームも一緒にしないわけではないが、通話は減り、チャットがメイン。


 しんどい。


 何故しんどいのか。


 その答えは分かっていた。

 だから、俺は決心し、加計に話しかける。

 慌てて眼鏡を外す加計を見て、胸が痛い。

 それでも俺は話しかける。


「なあ、なんで俺と話す時に眼鏡外すようになったの?」


 加計は目をそらし、どこかに行こうとする。

 だけど、俺は逃げたくない。正面から向かい合いたい。

 だって、俺は……。

 加計の腕をとると、観念したのか絞り出すように叫ぶ。


「ちゃんと顔見えちゃうと恥ずかしくなってくるからだけど!? 悪い!?」




 それから半年後、彼女は眼鏡を掛けてくれるようになった。


 学校でも、デートでも。

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