生活支援ロボの霜川君なのです。

暗黒星雲

第1話 霜川君、起動します。

 霜川憲しもかわけんはロボである。

 ドクタートリニティが開発・制作した生活支援ロボットである。お買い物からお昼ごはんの調理、お洗濯にお掃除と何でも出来る優秀なロボットだ。


 見た目は古の名機ロビタを模倣しており、頭部が円筒形であること以外は酷似している。両手は大きなハサミ状でマニピュレーターはない。また、脚は短い……というより無い。車輪や補助脚も無い。


 人間で言うなら臀部が直接床面に接している格好だ。しかし、彼は5ミリから50ミリほど空中に浮いて移動できる。ミノフスキークラフトを利用しているという噂だが詳細は不明だ。


 今日もドクタートリニティは霜川君を起動した。


 バケツをひっくり返したような円筒形の頭部の中心に横長のスリットがある。その奥に円形のモノアイが点灯し、それが左右に動いた。その様はまるでジオンのMSモビルスーツのようだと評判である。しかし、それを理解しているのは中年のオッサンだけであり、若い女性には「キモイ」と言われているらしい。


「おはようございます。ドクタートリニティ」

「おはよう、霜川君。早速だが任務だ。今日は竜王学園へと赴き、トイレの修理をして来るのだ」

「了解しました」


 霜川君はモノアイを二度点滅させてから180度向きを変えた。そして玄関へと向かった。


※ロビタ……手塚治虫先生の名作「火の鳥」シリーズに登場するロボット。厳密にはロボットでなくアンドロイドでもない「ロビタ」である。可愛いぞ。

※ミノフスキー・クラフト……ミノフスキー粒子を利用した重力下における空中浮遊機構。ホワイトベースに搭載されていたらしい。その詳しい原理について作者は全く知らない。

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