第4話 学園長の元へ向かいます。

「では霜川君。この粉を流通させている主犯の元へ行こうではないか」

「犯人がわかっているんですか?」

「まあな。こんなアホな事をする人物は他にいないだろう。想念エネルギー云々という証拠が出たのだ。犯人は学園長。自称超能力者で人心操作が得意技らしい。行くぞ」

「え?」


 犯人の特定があまりにも早い。早すぎる。霜川君は何か大人の事情があるはずだと考えたのだが、それが字数制限とは気づいていなかった。


「学園長室に乗り込むぞ!」

「ええ?」


 訳が分からず狼狽している霜川君を引き連れ、彩花は学園長室へと乗り込んだ。そこには白髪で豊かな白い髭をたくわえた初老のオッサンがいた。


「学園長。この白い粉を密売していたのは貴方で間違いありませんね。クラッシス学園長」

「白い粉? 密売? 何の事だね」

「さあ霜川君。想念エネルギーの特定を」

「了解シマシタ」

「??」


 再び機械音声が勝手に返事をした。


「想念スペクトルノ解析ヲ終了シマシタ。学園長ノ想念スペクトル型ハO型9Vデス。おっぱい膨らし粉ニ残留シテイル想念スペクトル型ト一致シマシタ」

「おいおい。そんなポンコツの意味不明な解析を信じるのかい?」

「霜川君の制作者はあの変態科学者ドクタートリニティです。学園長とお友達なのでは?」

「あの阿呆と一緒にするな」

「戦闘形態ヘト変形シマス」


 霜川君の両腕が変形した。右腕は何かの銃のような形状となり、左腕からはビームの剣が伸びた。


「うわ。霜川君、カッコイイぞ」

「ドウイタシマシテ」

「では学園長。貴方はこの粉を製造し販売した事を認めますか?」


 返答を渋る学園長の首筋にビームの剣が突き付けられた。


「暴力には反対だ」

「認めるんですね」

「み、認める」

「この粉をおっぱい膨らし粉として販売したと」

「そうだ」

「ラムネの粉なのに?」

「そうだ」

「人心操作術を使いましたか?」

「そうだ」

「それには強い想念エネルギーが必要なんですね。それは幻覚を見せるため?」

「そうだ……実際に胸が大きくなったと錯覚する。効果は一週間で副作用は一切ない。君だってFカップやGカップになれるぞ」

「大きなお世話です」

「ところで彩花君。この件は内密にしてほしいのだが……」

「内密? PTAとか理事会にバレたら大変な事になりますね」

「もちろんだ。大事になる」

「それでは、生徒会の予算を倍にして下さいますか?」

「わかった。約束しよう」


 満面の笑みを浮かべ学園長と握手をする彩花だった。

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