黒歴史だって今の自分の立派な一部
通りすがりの一般人
あだな
高校時代に友人たちと、昔話を酒のつまみにする。たまに、当時の担任を話題にする事もある。
「○○先生、恐かったよな。」
俺は、高校時代の担任から、何度か説教された。殴られたこともあった。現代では大問題になるだろうけど、当時の俺は受け入れていた。
「オマエの場合、○○先生から、スゲー可愛がられていたと思うよ。」
友人が言う。俺には「可愛がられた」自覚は無かったが、他人からは、そう見えていたらしい。
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通っていた高校は、決して学業トップレベルの学校ではなかった。だから、四年制大学への進学を目指して、少し真面目に勉強をしていれば、校内での成績は上位になる。
僕は○○先生に呼び出された。
「最近、勉強に身が入っていないみたいだが、何かあったのか?」
成績が落ちていることや授業に集中できていないのは自覚している。集中できない理由も解っている。
クラス内に好きな子がいたのだが、思春期が周りよりも遅かった僕は、その子の視線を意識して気持ちばかりが高揚してしまい、且つ、その子が他の男子と仲良く話すのが苦しくて、どう対処すれば良いのか解らずに浮ついていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
だけど、恥ずかしくて「好きな子が気になって授業に集中できません」とは言えなかったので、咄嗟に嘘を付いた。
「テレビ番組の続きが気になってしまって・・・。」
○○先生の顔が鬼の形相になり、引っぱたかれた。そのあと、僕は泣くほど怒られた。
僕が浮ついている原因を「いじめられているのでは?」と心配してくれたのかもしれない。
翌日から先生は、僕のことを、苗字ではなく、あだ名で呼ぶようになった。
先生から‘弄られるキャラ’になった。先生の‘弄り=注目’が防御壁になり、周りにいじめられることも無かった。むしろ、同情をされた。
先生に呼ばれるあだ名の所為で、「上っ面の格好付け」は通用しなくなり、「変なあだ名で呼ばれているけどバカではない僕」を周りに見せる為には、「中身をちゃんとする」しか手段が無かった。
当時の片想いに対してアプローチをする余裕は無くなった。
結果的に、成績は上位で安定するようになり、何かと先生から白羽の矢を立てられて、学校内の活動にも積極的(強制的)に参加をした。
志望校(二流だけど)には、(先生が怖くて勉強を続けた結果)、無事に合格した。
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次に俺が恋愛に興味を持ったのは、大学生になってからだった。周りと比べて色気づいたのは異常に遅かった。
当時が「上っ面の格好」から「ちゃんとした自信」に変化をする過渡期だったことは、何年か経ってから気付いた。
一人称が「僕」から「俺」に変わったのが、いつからかは、覚えていない。一定の自信を持つようになって、一人称が変化をしたと思う。
○○先生が、そこまで考えてくれたのか?と考えると、多分、そこまでは考えていない。
だが、結果的に、○○先生は、俺にとっては一番の恩師になった。今でも、とても感謝をしています。
でもね、先生。あだ名「アニメ好き」は酷いよ。
嘘で誤魔化した俺も悪いんだけど、特に、アニメに熱中をしていたわけではないので尚更ね。
俺の高校デビュー願望は、このあだ名と共に終わりを迎えた。
黒歴史だって今の自分の立派な一部 通りすがりの一般人 @kamehoko
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