HURA〜人類が犯した罪〜

阪岸春

第1話 人類が犯した二個目の罪

「や、やめ!」

ブチュ!!

男の首が跳ね血が吹き出る。


「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、アハッ。」


今日もそれは罪を背負う。


***


「今朝。滋賀県某所にて首が切断された死体が発見されました。これは1ヶ月行方不明だった・・・・・」


今日も悲惨なテレビニュースを見ながら一人で寝起きの目を擦りながりパンを貪る。


俺の名?そんなの名乗るほどでもねぇよ。普通に生きてるだけの普通の大学生。友達は二人。そいつらの名前なら教えてやらんこともない。

えっ?それより俺の名前?言わねぇって。

大学生にしてはマシな生活だろう?だってこんな山奥の大学に行きゃ誰だって健康な生活になるわ。とりあえずまぁ行ってくるわ。


坂道だらけの住宅街の中にドンとある巨大なキャンパス。ここの大学生はみんな似たような生活だろう。飲み屋だってだいぶ遠いしサークル活動だって盛んじゃない。ここにきた陽キャは必ず留年か退学をすると言われている伝説の大学だ。

理系しかない大学にとっては好都合だろうが、、、、


「よっ。」


俺より早く教室にいるこの馬鹿が俺の一人目の友達ケン。あだ名で呼んでと言われそこからずっとケン。時々本名を忘れることがある。


「さすが。お二人さん。早いね。」


こいつはもう一人の友達タケル。この大学にしては珍しくインカレに入りながら通う陽キャだ。昔からの腐れ縁で一緒に行動を共にしている。


「はい。本日は、、、、」


授業が始まった。大学の90分授業は逆に良い暇つぶしだ。理系の訳がわからないことを逆に理解してやろうという気になる。

なにせ今の授業はいろんな怪奇現象を科学で証明するという馬鹿げた授業だ。この大学はたまにこういう授業がある。一週間の楽しみの一つである。

将来はこの教授のお世話にでもなろうか。


「神隠しとかってほんとにあるのかねぇ。」


ケンがボソッと呟く。


「異世界の話でしょ?行きたいな。」


「異世界だったら行きたいな。」


何を言っているのだ。現状維持がいいに決まってるだろう。


そんなことを思いながらも俺は寝た。


「俺も寝る。」


そう言ってタケルも授業中に関わらず寝た。

興味があるのか無いのかわからない。


***


またこの夢だ。

現実か夢か分からないこの感覚。そして夢の中で何者か追っている。

追い詰めたところでそいつの首を刎ねる。

一体誰がこんな昼間っから人なんて殺すんだ。そんなやつはいるはずがないと言う結論でいつもこれが夢だと理解している。

悪夢って感じでもないが胸糞は勿論悪い。夢とは言え人殺しにあっているからだ。


そしていつも首を刎ねたところで一度目が覚める。授業中でもベットで寝ててもこの夢を見た時は必ず同じ場所で目が覚める。しかし同じ人間を殺すわけではなく、毎回人が変わる。俺に取って全く関係のない人間を夢で殺すのは本当に申し訳ない。

一度精神科の病院にでも行こうか。


一度覚めた目を擦りながらそんなことを考えているとタケルも自分と同じように目を擦っていた。


まさかな、、


「タケルってどんな夢見るんだ?」


「、、え?まぁ現実っぽい夢かな。」


「なんだよそれ。」


「まぁVRを見てる感覚かな。」


「ふーん。」


タケルのその例えにはひどく共感した。しかし、俺はそのVRを操作できない。タケルは夢の操作が出来る才能でも持っているのか。


「授業終わり。」


いつも通り時間を10分残して授業が終わった。この授業は二時間目ちょうど食堂が混む前に飯を食うことが出来る。

最高である。

優雅に昼飯を食ってずらずらと食堂に来る学生を見て気持ちよくなっている。

いつもの楽しみだ。

他の大学に比べてかなり人は少ないだろうがな。


そのまま午後の授業も受け帰った。

何事もなく帰っていた時俺の人生は急変する。


***


今日は何しようか、そんなことを一人で考えながら自転車に乗らずゆっくりと帰っていた。


「あ、いた。」


突然前からその言葉が聞こえた。前を見ると長くて真っ黒の髪を靡かせている美しい女性がこちらを見ており自分と目があっている。


誰だ、、、、


知らない人が自分を見て居たと言っている。美しい女性とは言えこんな怖いことはない。当然こっちに向かってくる。

怖くなった俺は自転車に乗り猛スピードで逃げる。


「え、逃げないでよ。」


俺の隣にはその美しい顔。


え、俺今自転車だぞ?速っ。


「止まってよっ!」


そう言ってその女性は俺の両肩を掴み強制的に自転車を止めた。


「なんで逃げるのよ。」


え、何こわ、ほんとにこの人人間か?、


「ちょっと!聞いてる?」

バシッ


「イテッ。誰なんですか?!」


「え、誰って私じゃない。」


「え?」


「え?」


バッ

女性が俺に背中を向け携帯で誰かに電話を賭ける。


「ちょっと、私のこと知らないんですけど!え?!そういうこともあるって?先に言いなさいよっ!うん、うん。はぁー。了解っ。」


電話を切り再びこちらの顔を向けた。


「私の名前はみあ。怪しいものじゃないわ。」


「いや怪しいですよ?」


「あーえっとそうね。どうしよ、、、私のお願い聞いてくれない??」


美しい顔で誘惑してくるみあ。勿論乗るわけがない。


「いやです。」


「え、何やってんだ。」


そこにちょうどタケルが現れた。


「タケル。」


「何よっ!あんたら友達?!」


俺がタケルの名を呼ぶと同時にみあが大声を出した。


「みあと何してんだよ。」


「友達なら話は早いわっ!タケル!説明よろしくっ!」


「え、ということはみあの相棒って。」


「そ!この子!」


「ガチかぁ。」


え、なになに。俺の知らないところで話が膨らんでいくんだが、


「あぁ。俺とみあと一緒についてきてくれ。」


「タケルがいうなら、」


「よっしゃ。これで私も一人前よっ!二人とも!車に乗りなさい!」


「あ、はい。」


自転車を無理やり車に押し込み。連れて行かれたのは隣町の一角にある建物。普通の会社の建物のようだが、、


車から降りある部屋に向かう。


「お、帰ってきたか。あれ。タケルもいるじゃん。」


「聞いてよ!なんとタケルの友達だったのよ!」


「そうなのか。それは不幸中の幸ってことか。で、その子の名前は?」


「確かに聞いてない。あなた名前は?」


「りあと。」

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