シン・メガネ革命

龍神雲

第1話 シン・メガネ革命

 一部屋に集められた総勢五十の男性陣の中に一人の女性がいた。

 仁科にしなキララ、十七歳、仁科家財閥のお嬢様だ。

「今日はどの人にしようかなぁ♪」

 キララは数え歌を歌い品定めを始めた。

 キララは無類の眼鏡男子フェチで、毎日のようにデート相手をリクルートしていた。

 だがキララの数え歌は突如、遮られる――

「五メガネ!」

「十メガバイト!」

 室内に響き渡る不可解な怒声はキララの思考を奪った。

「え、何? 何なのよ?」

 部屋の奥で男性二人が向かい合わせで様々な眼鏡を床に置き――

「くっ! フェイント!? この辛し明太子では無理か!」

「フッ、残念だったな。お汁粉で俺のコンボは完成だ!」

 一人は片手に生の辛し明太子を持ち、もう一人は缶のお汁粉を手にしていた。

 何やらバトルをしているが、キララにとっては目障りでしかない。

「ちょっとあなた達! 今すぐこの部屋から出てって! 私の思考の邪魔をしないで!」

 だが――

「おい! 女を召喚したのはお前か!?」

 生の辛し明太子を手にした一人が叫ぶ。

「知らん! ハッ――もしやこれが、伝説のエクストラルールか!? 良いだろう! 受けて立つぞ!」

 刹那、缶のお汁粉を持っていた男がそれを頭から被りキララの手首を掴んだ。

「えっ!? ちょっ、何!? 何なのよ!?」

「お静かに、ここはメガネの領域ぞ」

「メガネの領域!? 何それ!? ……って、冷たっ!?」

 キララもお汁粉を頭に掛けられた。

「もう、何なのよ!? セバスチャン! 早くこいつらを摘まみ出してちょうだい!」

 だがしかし――

「キララお嬢様が遂に開花されて、私は嬉しゅう御座います。では私も参りましょう」

 部屋の片隅に立つ執事は染々と感涙した後、右目のモノクルを外し床に置いた。

「メガネ発動! モノクルの調べ!」

 最早、意味が分からない。

「何だあの野郎! モノクルメガネを発動しやがったぞ!?」

「くっ、完敗だ! モノクル万歳!」

 そこでキララは気付いた。

 色眼鏡な世界をモノクルが壊し、救ったのだ(?)と。


 了

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シン・メガネ革命 龍神雲 @fin7

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