第11話:屋上の妖精

 お昼休み。

 いつもの裏庭で、ゲームのお手伝いご褒美として、未知留の手作り弁当を頂く予定だったが、既に先客がいた。

 めちゃくちゃイチャイチャしているカップルだ。


「あーん、んっ、美味しいなあ」

「うふふ、ほら口についてるわよ」


 実に微笑ましい。

 やがて女子生徒が、男子生徒の頬のこんにゃくの欠片みたいなのを手に取ると、パクっと食べた。

 

 うーん、仲良し。


 どこか移動するか、と思い隣に視線を向けると、未知留の顔が真っ赤だった。


「どうした?」

「な、な、な、な、何でもない!?」


 なぜこんなに焦っているのか、視線を更に戻すと、今度はキスをしていた。

 人前ではないが、学校内でやるのはどうかと――


「い、い、行くぞ! だ、ダメだお子様は見てはいけない!」

「お、お子様!?」


 顔を真っ赤にした未知留に手をぐいっと惹かれる。

 ちなみにお子様は俺か、未知留か、どっちかはわからなかった。


 結局、屋上まで走った。

 漫画みたいに扉なんて開いてないだろうと思っていたが、まさかの空きっぱなし。


「知ってたのか?」

「たまに一人になりたいときにね。鍵はずっと閉まってなかった。私があけたわけじゃないからね」


 一人になりたいときとは、と思ったが、聞けなかった。

 屋上はかなり気持ちよかった。

 青空が広がっていて、心なしか空気も澄んでいる気がする。


「それで、未知留」

「んー、気持ちいね。なあに?」

「さっき、なんで顔赤かったんだ?」


 熱でもあったら大変だなと思い気をきかせたのだが、初めて見るじと目で返された。


「何でもないです」

「え、な、なに」

「それより、ご飯食べよ。今日、吹雪の好物入れてきたよ」

「え、唐揚げか?」

「ふふふ、朝から揚げ物したからね」

「神すぎる……」

「でしょ」


 にへへっと金髪を揺らしながら笑う未知留は、可愛かった。



「あ、ヤバ」


 弁当を食べ終えて一息ついていると、突然、未知留が立ち上がった。

 めちゃくちゃ焦っている。


「ど、どうした……?」

「遅刻分の追加提出……出すの忘れてた」

「追加提出?」


 聞けば宿題を出されていたらしい。

 なるほど、遅刻のペナルティなんてものが密かにあったのか。


「ごめん。ちょっと行ってくる! 適当に帰っといて、吹雪!」

「お、おう! あ、弁当ありがとな!」

「はいはい!」


 焦る未知留は新鮮だった。

 いつも気だるそうというか、ある意味では優雅な感じもあるからな。


 まだ時間はある。教室に戻って昼寝するよりは、ここで眠った方が気持ちよさそうだ。


 ふああとあくびをしながらその場で横になる。

 やはり青空が綺麗だ。


 ん、なんだあの黒くて丸い頭みたいなの――え、あ、頭?


「……人?」


 屋上のさらに屋上、ハシゴがかかっている貯水の隣には、俺を見ている女子生徒がいた。

 黒髪で、前髪が隠れている。


 もちろん、ばっちりと目が合う。


「………」

「………」


 え、なんでここにいるの? 一体いつから?


 ……妖精?


「ご、ご、ごめんなさいいいいいいいい」


 すると突然焦り始めて、姿をさっと隠す。


 ああやっぱり、妖精みたいだ。


 ――――――――――――――――――――――

 あとがき。

 シズク、雫……?(/・ω・)/


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隣の席の金髪ヤンキーガールが、俺のゲーマー仲間だった件。というか、めちゃくちゃオタ可愛いんだが 菊池 快晴@書籍化進行中 @Sanadakaisei

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