第5話

総理大臣は、深刻な表情で緊急会見を開き、国民に対し次のように述べた。「本日の凶悪なテロ事件は、冥王星教団によるものであると確認されました。我々は断固たる措置として、冥王星教団を壊滅させる決意です。」


 この前代未聞の措置に対し、国内外から驚きの声が上がった。教団の信者や幹部、そして教祖自身に対する逮捕令状が発行され、国家転覆罪の適用が決定された。


 田中圭太は、教団の施設の一室でニュースを聞いていた。周囲の教団の幹部たちが焦りを隠そうとしている中、教祖は冷静沈着な様子を崩さなかった。



 圭太は、静寂を切り裂くように、教祖に問いかけた。「この窮地に陥った今、どのような御策をお考えでしょうか?国家転覆罪の適用は、予想よりも早く、政府高官の殺害は事態を急激に悪化させたのではないでしょうか?」


 教祖は、鋭い眼光を圭太に向け、静かに答えた。「焦る必要はない。むしろ、全ては計画通りに進んでいる。これから我々は、イスラム国やアルカイダといった組織と手を組むことになる。唐突に聞こえるかもしれんが、あと中国やロシアにも力を貸してもらう。彼らはいま日本の国を軍隊で囲んでいる。行動に移すように伝えてくれ」


 圭太は、教祖の言葉に深い衝撃を受けながらも、静かに「御意」と答えた。圭太は、教祖の言葉に深い衝撃を受けながらも、静かに「御意」と答え、疑問をぶつけることを決意した。


「教祖様、地球外生命体が地球を侵略する確証は? 何故、そのような断定的なご発言を?」


 教祖は、鋭い眼光を圭太に向け、静かに答えた。「メキシコのマヤ文明を知っているか?」


 圭太は、一瞬考え込み、静かに答えた。「はい、2012年12月21日に世界が滅亡するという予言で有名な文明ですね。」


 教祖は、静かに頷き、言葉を続けた。「マヤ文明で最も重要な神々の一柱であるククルカンは、蛇と鳥の要素を組み合わせた姿で描かれ、知恵、風、水、そして天体と深く結びついている。伝説によると、ククルカンは東の海から天に昇る金星に乗って現れたとされている。彼は文明を築き、知識や技術を人々に授け、やがて東の海へと帰っていったと言われている。」


 圭太は、教祖の言葉に耳を傾け、次第に好奇心を募らせていく。


 教祖は、言葉を続けた。「しかし、マヤの記述には、ククルカンは再び地球に帰還すると記されている。そして、その帰還の時期が、もうすぐなのだ。」


 圭太は、驚きを隠せず、声を弾ませた。「その帰還が、地球外生命体の侵略と関係しているのですか?」


 教祖は、静かに頷き、深遠な声音で語った。「そうだ。マヤの記述によれば、ククルカンは地球人類を導き、新たな時代へと導く存在とされている。しかし、その方法は、我々にとって理解を超えたものであろう。」


 圭太はふっと窓を見たとき、下に機動隊が構えていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

侵略 エドランド @chuckle4280

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ