第3話 7つの悪魔

 気がつくと僕は真っ黒な世界にただ1人立っていた。体が動かない。意識があるのだが口も体の自由が聞かない。するとこの世界の静寂を破った声が聞こえてきた。


「やっと起きたか。死人よ」


声がしたのは正面だ。気づかなかった。先ほどまでは何もなかった場所に大きな7つの人影がいた。いや人と言えるかもわからない。中にはツノのようなものが生えているものもいた。しかししっかりと姿が見えるのは先頭の1人だけで後ろの人には黒いモヤがかかっている。すると先頭の人が口を開いた。


「あぁそうか。今のお前は喋れないのだったな。喋れるようにしてやる。」


 そう言いそいつは手を前にかざすと口が動くようになった。

「おい、ここはどこなんだ?お前らは誰なんだ?」


「おいおいそんなに一度に何度も質問するなよ。俺様と話ができるだけでありがたいと思え。」


その男は僕に近づきに腕を組みながら続けた。


「えっとなんだっけ?ここ?ここはヘルヘイムだ。あの世とも言うな。つまりお前は死んだんだよ。残念だったな。そして俺らは大罪の悪魔。聞いたことない?7つの大罪って。俺様はその中でも傲慢の悪魔ルシファー様だ。」 


 冥界、7つの大罪、ルシファー、よく分からない単語が次々と出てきて頭が混乱する。と言うかこいつらが本物なのかそれすらも分からない。ただ一つ聞かなければいかないことがある。

「僕は…本当…に…死んだの…か?」


僕が恐る恐るする質問にルシファーは淡々と答えた。


「ん?あぁ死んだよ。お腹を切られてね。残念だったね。……そこで一つ提案があるんだけど———俺様たちと契約をしないかい?」


「契約?契約ってなんだ?」

「お前を生き返らせてやる。能力もやる。」


 僕はその言葉に唖然とした。生き返ることができる。しかも能力も付いてくる。これで見下してきたあいつらを見返すことができる。こんな美味しい提案を逃す訳にはいかない。だが相手は悪魔だ。何が代償が付いてくるはずだ。


「———だだし、条件がある。」


 『条件』僕はこの言葉に身構えた。何かとても辛い代償があるはずだ。


「俺様たちの憑代になることだ。」


『憑代』それは多分幽霊とかが人などに取り憑くことのはずだ。つまり僕は悪魔に取り憑かれてしまうのか?それじゃあ生き返った意味がないじゃないか。


「あぁ安心しろ。少なくとも体の主導権はお前にある。俺様たちはただちょっとした肉体に変化はあるかもしれないが些細なことだ。」


「そう…なのか…。僕はてっきり命とか取られるかと…。」


「せっかく生き返らせた奴の命をどうしてまた奪う必要があるのだ?」


「それも…そうか。」


 少し気になる所もあるがそんなことはどうでもいい。せっかくあの世界でリベンジするチャンスがあるんだ。だったら回答は当然。


「わかった。それでいい。生き返らせてくれ。」


「フッ、契約成立だ」


 瞬間暗かった世界白くひかり、体に何かが入ってくるのを感じた。そしてまた意識が遠のいて目を瞑った。

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7つの大罪の力を手にした男の成り上がり とうもころし @KndGnk

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