「おむすび推し女優」~でもカンナさん?それはダメ~

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「推し活」は、ついに「おむすび」の世界に広まった?過保護な高校生のゆくえは…どうでもいい?

「おむすび推し活事件」

それは、カンナさんという女性が中心になって経営しているおむすび専門店からはじまった。

古びた木造一軒家で働く彼女は、ドレス姿のことが多い。

「あの店って、面白いよな」

「女優が、おむすびを売っている感じ」

SNSで、話題の人気店。

「いらっしゃいませ!この店のおむすびを食べると、自分自身に足りない何かを手に入れられます」

気になる言い方に、だれもがひかれる。

「ねぇ、カンナさん?」

彼と彼女は、気さくに話せる仲だ。

大いに世話になってきた。

「おバカな高校生ほど、かわいい」

だ、そうです。

「足りない何かが手に入るっていう言い方は、気になりますね」

「そう?気になるのは、そっちだよ」

「?」

「私…。ハシモト君に、心のこもったおむすびの未来を見たの。気になる」

だから彼女は、彼に親切なのか?

「じゃあ、心のこもっていないおむすびの未来は見える?握れる?」

ただ、そう聞いたら怒られ。

「…高校生のクセに!心のこもっていないおむすびを、私に握らせるの?」

なぜ、怒る。

「握れますか?」

「握るの?」

寿司屋みたい。

「じゃあ…。俺に足りないもの…刺激を手に入れられそうな分を、握って」

「本当に良いの?」

「ええ。だって、この店のおむすびを食べると、自分自身に足りない何かを手に入れられるんでしょう?」

「わかったわ、ハシモト君。高校生には、刺激が必要だものね!そこで、待っていて」

店の奥に向かう、彼女。

ドキドキして、ドレス姿の彼女が戻るのを待つ。

「…長いな」

小一時間がたった。

「お待たせ、ハシモト君?」

大皿に、50個はあろうかというおむすびが乗せられ、ゴロゴロとカートで運ばれてきた。

「この店のおむすびを食べると、自分自身に足りない何かを手に入れられます、か…」

やばい。

未熟な高校生に足りないものは、多すぎる。

おむすびが、大量に攻めてくるぞ。

「…カ、カンナさん?これ、味強…すぎ…」

彼の息が止まった。

刺激的なおむすびの、食べすぎ。

彼女が彼を世話し続けたのは、

未熟な高校生のデータをとるためだった?

「高校生には、ちょっと強すぎた?数も、多すぎたね」

ゴミ箱に、毒薬の入った小瓶を捨てた悪魔女優。

さすがに、心がこもっていない。







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