虹の色

星之瞳

第1話

「ねぇねぇ見て、虹が出てるよ」

「綺麗ね。さっきにわか雨降ったからそれでよね」

教室は大騒ぎ。生徒たちは窓際に集まって虹を見つめた。


「うん?佐山どうしたんだ、浮かない顔して」

「ああ、宇佐見、虹って何色なんしょくだっけ?」

「え!7色だろう。それがどうかしたのか?」

「俺、虹を何回見ても5色か6色にしか見えないんだ。俺おかしいのかな?」

「おかしくなんかないぞ、それが当たり前だ」

「江川、どうゆうことだ」

「虹っていうのは、大気中の水の粒に太陽の光が屈折して見えるものだろう。だから色の境もはっきりしないしね。7色と言われているのはプリズムで太陽光を分解したときに7色になるからそう言われているらしい。世界では6色とか、5色とか、極端な例としては2色って国があるらしいからな」

「でも、日本では昔から7色って言われているだろう。どうして?」

「それは色に関する感性が大きく影響しているらしい。日本人は赤を緋色だの、桜色だの同じ色でもわずかな違いで細かく分けているだろう。だから赤・橙・黃・緑・青・藍 ・紫の7色。ほかの国では、橙と黄色を1色。青と藍を1色と見たりしているそうだ」

「へー!同じものを見ても国によってそんなに違うんだね。江川なんでそんなに詳しいんだ?」

「俺も、佐山と一緒で6色ぐらいにしか見えないんだよ。それで調べたことがあるからさ。それに夕日が赤くなるように、その土地の緯度によっても太陽の角度が違うからそれも影響していると思ってる」

「江川もそうだったのか、なら安心だね」

「国によって、虹の色が何色かっていうのが違うし、民族性も影響しているってなんか面白いな」宇佐見が続けた。


「なあ、みんな、きれいな虹を見れたことだし、何色に見えるか投票しないか?」

黒板に7、6、5と数字を書いた江川が叫んだ。

「面白そう」とクラスのみんなは自分が思う数字に投票した。

結果・・・。

「あれ、7色って意外と少ないな」

「一番多いのが6色か。じゃ俺普通だったんだな」

「な、言った通りだろう。何も心配することないって」

「ありがとう、これですっきりしたよ」

「さて、午後の授業が始まる。あ、理科準備室だ行くぞ」

俺たちは急いで理科準備室に向かった。






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