樹菜・梨美菜は分かるよう色を変えている

岩田へいきち

樹菜・梨美菜は分かるよう色を変えている


「梨美菜は、ピンクだからお姉ちゃんは、色、変えて」


  ぼくは、その言葉を聞いて思わず唾を飲んだ。



 ぼくが家政夫として、バドミントンの強豪高校へ進学した友だちの樹菜のサポートをするようになってから早、一年半が過ぎ、この4月から樹菜は、3年生になった。そして、2つ違いで同じくバドミントンをやっていた妹の梨美菜もこの強豪校にやって来て1年生だ。これまで

 梨美菜との面識はなく、見かけてもSNSで加工した画像を見るくらいだったが、本物と対面してその可愛いさに驚いた。樹菜の可愛いさに惹かれて、ついて来ているのに、梨美菜は、また別の可愛いさと魅力を持っている。予定になかったが、順調に樹菜が全国大会へも出るほどの選手になったこともあって、2人のママから

とりあえずあと一年、梨美菜も一緒にと頼まれていた。


 そこで、これまで、樹菜と、2人だけだった時には何も気にしていなかったことが色々問題となってきた。


 家事は、家政夫のぼくが担当しているが、さすがに下着の洗濯は、これまで樹菜に自分でやってもらっていた。柄付きの洗濯ネットに押し込んで他の練習着等と一緒に洗うことはあってもぼくは、樹菜の下着を見たことがない。


 それが、これからは、梨美菜の下着も混ぜて洗うことになるのだ。交代でやるとしても、最終的には、お互いの下着を仕分けしないといけない。きっと、その話だろうとぼくは思った。


 あの可愛い梨美菜がピンクの下着を身に着けて肌を露わにしている姿を想像してしまった。



「分かった。じゃ、樹菜は、オレンジ、オレンジにする」



 何? オレンジ。オレンジか。理想的じゃないか、樹菜。


 また、オレンジ色の下着をまとった樹菜を想像してしまった。可愛い、素晴らしい。2人とも最高だ。


 いけない、いけない。こんなこと家政夫のぼくは想像してはいけないのだ。ママごめんなさい。


 ぼくは、夕食の材料の玉ねぎの皮を剥きながらそんなことを思っていた。明日は、梨美菜がこの学校に来てから初めての地区大会だ。樹菜も梨美菜も2人とも出場するから会場まで送迎も担当している。久々に成長した樹菜のプレイが見れるし、梨美菜のお手なみも拝見出来るだろう。



 そして、試合当日の朝、ぼくは、2人のお弁当と大き目の水筒に薄めたスポーツドリンクを注入していた。



「梨美菜、ラケット忘れちゃダメだよ」


「分かってる。商売道具は忘れません」


 慌ただしく、3人は、なんとか出発。

無事試合会場についた。


思えば、1年前、樹菜がメキメキと力をつけ始めたのと同じ会場だ。梨美菜は、樹菜ほどになるだろうか? それともそれ以上か。


不安と期待が同時によぎった。

 


 2人の1試合目の時間は、同じだ。同時にそれぞれのコートで試合が始まった。体育館の窓は、全て暗幕で覆われ、照明が照らされている。


2人とも頑張れ。2人とも群を抜いて可愛いぞ。


また、不謹慎にも2人のピンクとオレンジの下着姿を目に浮かべてしまった。



『ピンクとオレンジ』


『ピンクとオレンジ』


『ピンクとオレンジ』



「ああ、ラケットのガットの色?」




終わり(またまた続くかも?)

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