KAC20247『どきどき春の色』

夢月みつき

第1話「春色の季節」

 あたしは、水色のの。昨日で保育園を卒園したから、今度、新一年生になるの!

 あたしの好きな水色の、ピカピカのランドセル。おじいちゃんとおばあちゃんが買ってくれたの。



 ほとんどのお友達が、同じ学校に入学するから、寂しさは感じないっ。

 大きくて、綺麗な学校でこれから、どんなことが待っているんだろう?

 楽しみだなあ、新しいお友達も出来るかな。そうそう、給食もたのしみ!



 いろいろなおいしい給食が、出て来るんだって。

 近所の小学三年生のお兄ちゃんが言ってた。


 そんなことを考えながら、家から公園に向かう。

 ママに、結ってもらったお団子ヘアに水色のワンピース。

 今日のおしゃれポイントは、丸いピンク色の、りぼんが付いたポシェット。

 今日はなにか、素敵なことが起こりそう!




 あたしは、いつもの公園への道を通って、大きな梅の木がある公園へ着いた。

 色とりどりのお花が、花壇に咲いている。


 すると、ブランコで遊んでいるお友達の、桃塚かなんちゃんがあたしに気づいて手を振りながら、声を掛けて来たんだ。



「ののちゃ~ん。一緒にブランコ乗ろう!」

「うんっ、乗ろう!乗ろう」



 かなんちゃんは、ちょっとボーイッシュなショートカットのかわいい子なんだ。

 ののと、かなんちゃんがブランコをこいでいると、もう一人のお友達のれおんくんが、のの達を見つけて、近づいて来た。



「ののちゃん、かなんちゃん。ぼくもいれて?」

「「いいよ~」」



 かなんちゃんが、れおんくんを横目でちらちら見ながら、頬を桜色に染めている。

 かなんちゃんは、れおんくんが保育園に初めに入園したころから好きなんだって。



 あたしは、かなんちゃんが一番好きだけどな~。

 ブランコをこいで遊んでいると、れおんくんが口を開いて……


「ぼくね、ふたりと同じ、学校には行けないんだ。お父さんのお仕事で隣町に引っ越すことになって……」



 れおんくんが、しゅんとうつむきながら、元気がなさそうにつぶやく。

「ええっ!?嘘でしょ、れおんくん」

 あたしが、話すより先に驚きの声を上げたのは、かなんちゃんだった。



「れおんくん、お引越しするんだ?さみしいよ」

 あたしも続いて、れおんくんに声を掛ける。



「うん……ぼくも寂しい。でも、隣町だから。たまには会いに来てくれるよね?」

「当たり前だよ!」

「うん、あたしも、かなんちゃんとママと一緒に行くよ」



 桜咲く春にあたし達は、新一年生になる。

 希望と不安と、出会いと別れの季節。あたし達は、これから何度経験して行くのだろう。



 -おわり-



 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 最後までお読みいただきありがとうございました。


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