カクヨム運命から出されたお題は「色」。多くの書き手が多様な解釈に挑みましたが……
本作で作者が選んだのは般若心経における「色」。それは、この世の全て。「色即是空」の四文字は広く知られますが、KACでこれを持ってくるとは! 評者は読書量が少ないので信頼されないでしょうが、これよりスケールが大きい回答はないのではないでしょうか。
本文も、まあ何ともスケールが大きいこと。人一人の身では置いていかれるような。でも、それがたった一人の物語なのです。もう何と申し上げてよいやら。
大喜利としてのうがった視線を持ちつつ、小ネタでなく極限の広さに挑んだ本作。作者はいつも尋常でない視点を狙う作家で、今度も驚かされました。
神の比率 1: 1.414(所謂、約 5:7)
言葉には『霊』が、数には『神』が宿るという。
古より、黄金比に似て異なる【神の比率】がある。本作品は、奇跡的にもその
《色彩》を示唆したものと、納得する。
言葉は『咒』となり『目に見えないもの』への因果を言い渡す。それは近代に於いてもプログラミング言語として同様に使われている。
しかし言葉では表せない、或いは決してそれをしてはならないものがある。余りに膨大で悠玄なものが。
代価案として、数が。そして色彩があるのだろう。
白銀の錬成されるが如く。
その永劫とも謂える美しく強かな輪廻を、穏やかにして華麗な、華麗にしてΦを持つ
その『色』に想いを馳せずにはいられない。